夏休みの自由研究と言えば、真っ先に思いつくのは海の生き物をテーマとした自由研究です。
実は海の生き物を題材にした自由研究は切り口が多く、ほんの一例を挙げてみてもこれだけたくさんのテーマがあります。
- 潮だまりに住む生き物
- 海に住む危険生物
- 沖合にいる海の生き物
- 日本近海に生息する海の生き物
- 世界中の主な海の生き物
その中でも潮だまりに住む生き物についての調査は特におすすめです。
なぜなら潮だまりの生き物の観察は簡単にできるからです。
レジャーとして楽しむこともできます。
海の生き物を調べてみることで観察の仕方が身につき、勉強もさらに楽しくなること間違いありません。
今回は磯に住む生き物の調査に焦点をあて、海の生き物の調べ方、まとめ方について解説します。
小学生の自由研究は海の生き物で決まり!
なぜ海の生物の自由研究をおすすめするのか、それは海の生き物の観察にはこのようなメリットがあるからです。
- 簡単にできる
- 楽しくできる
- 生き物の生態を知ることができる
- 環境について知ることができる
- さらに勉強が楽しくなる
夏休みと言えば何といってもレジャーです。
家族で過ごす夏の思い出と共に自由研究もできてしまう、こんなに良いことはありません。
さらに言えば、海の生き物の研究それ自体がとても奥が深く、さらに勉強して生物学者になれるなんてことも…
どうやって調べるのか、簡単にまとめるとこのようになります。
- 海に行く
- どんな生き物がいるのか調べる
- 標本を採取する
- 調べる(どうしてここにいるのか、生き物の生態、似たような種類の生き物)
- まとめる
詳しい調査方法についてはこの後ご説明します。
自由研究の海の生き物のやり方は?
海の生き物を調査する時の具体的な方法についてご説明します。
1.現地での調べ方
- 潮だまりの生き物をじかに観察する
- 箱めがねで海の中を観察する
海の中の生物を観察する時には「箱めがね」を使います。
水の中を見る時、じかに見たのではくっきり見えずうまく観察することができません。
そこで、お手製のめがねを使って海の中を見る必要があります。
箱めがねは牛乳パック、紙製のジュースのパックで簡単に作ることができます。
作り方をご紹介します。
【箱めがねの材料】
- 牛乳パック、紙製のジュースのパック(500ミリリットル用)
- ラップ
- 輪ゴム
【箱めがねの作り方】
- 牛乳パック、紙製のジュースのパックの上下10センチぐらいの所を切り落とす
- 切り取った片面にラップを張る
- ラップを輪ゴムで留める
ラップはたるみが無いようにピンと張りましょう。
ラップを留める輪ゴムは二~三巻ぐらいがちょうど良いです。(あまり巻き過ぎるとパックが潰れてしまいます。)
2.標本の採取の仕方
潮だまりの浅い部分、もしくは潮が引いた岩場にはこんな生き物がいます。
- カニ
- ヤドカリ
- 貝
- ヒトデ
- 小さな魚
手でつかんで持ってきたバケツに入れます。
この時、直接手ですくっても構いませんが、なるべく軍手をしてからにしましょう。
海の生き物の中には、トゲを持ったもの、毒を持ったものもいます。
自然の生き物を手で触ってみることは良い経験にはなりますが、思わぬケガのもとにもなります。
そのため、生き物を捕まえる際には軍手をすることをおすすめします。
①たも網ですくってみる
浅瀬であればたも網ですくってみるのも一つの方法です。
コツとしてはずばりタイミング、これしかありません。
小さな魚は動きが速いのでなかなかすぐには捕まえることができませんが、何をするにも経験してみることが一番です。
この時、魚を追い過ぎて海に落ちないように気をつけましょう。
②ペットボトルの罠をしかける
ペットボトルの罠をしかけてみるのも良いでしょう。
【ペットボトルの罠を作るための材料】
- ペットボトル(2リットル用)
- たこ糸
- きり(千枚通し)
【ペットボトルの罠の作り方】
- ペットボトル上部(飲み口部分)を上から5センチ~6センチぐらいのところでカッター(ハサミ)で切り取る。
- 切り取ったペットボトル下部を更に4センチぐらいのところで切り取る。こうすると直径約6センチ~7センチの穴が開いたじょうごのようなものができる(これが生き物の入口になる)
- 2で作成したじょうご状のものを逆さにして、1で作成したペットボトルにたこ糸でくくりつける
ペットボトルの中に入れる餌にはこのようなものを使います。
- 魚の切り身
- かまぼこ
- チーズ
- すいか
この他にも色々な餌を用意して、どの餌に集まってくるのか試してみるのもいいかもしれません。
3.帰った後の調べ方
海の生き物の調査が終わったら家に帰って生き物について調べてみましょう。
調べる方法は大きく「図鑑で調べる」方法と「インターネットで調べる」方法の二つがあります。
① 図鑑で調べる
まずは図鑑を見ながら調べた生き物の名前を探してみます。
探す時には観察した時に撮影した画像と見比べながら探してみると良いでしょう。
海の生き物に関する図鑑はたくさんありますが、海辺に生息する生き物に特化した図鑑を使うことをおすすめします。
例えば、こんな図鑑があります。
【ダイバー 海辺の生きものガイドブック】
図鑑の絵と見比べて、どの生き物がいたのか探してみましょう。
②インターネットで検索してみる
インターネットで探してみる方法もあります。
ただし、生き物の名前はわかりませんので探す時にはコツがいります。
- 「海の生き物」「潮だまり」「海岸」といったキーワードで検索する
さらに見た目によって「貝」「カニ」「ヒトデ」「魚」といったワードを加えると良いでしょう。
この時に「画像」というワードも合わせて検索してみます。
- 検索結果が出てきたら画像が紹介されているリンクをクリックして探す
もしくは検索結果が表示された際に、検索サイトの画像をクリックしてみます。
こうすることで画像が表示されますので撮影した画像と見比べながら生き物を探してみます。
海の生き物を探しに行こう!
それでは、実際に海の生き物を探しに行きましょう。
場所は「海岸沿いの潮だまり」が適しています。
時期としては7月中旬から8月が最適です。
天気は晴れもしくは薄曇り程度であれば問題ありません。
もちろん天気が悪い日は避けます。
時間帯は明るい時間帯(17:00ぐらいまで)に終わらせましょう。
夏は日中の時間帯が長く、海に沈む夕日もきれいなため思わず夕方になってもその場にいたくなるものです。
しかし、一旦日が沈み始めるとあっという間に辺りは暗くなります。
暗い中での移動も危険ですし、もし足を滑らせて海に落ちたとしたら大きな事故につながりかねません。
なお、潮が引いている時(干潮)が自由研究を行うのに最適です。
干潮時には岩場に取り残された海の生き物がたくさんいます。
逆に満潮になるとあっという間に足場が無くなってしまいます。
油断していると思わぬ事故につながりかねません。
事前に満潮、干潮の時間を調べて時間に余裕を持って行動しましょう。
日本は島国のため全国各地に潮だまりがあります。
その中でも、関東近県でどこが適しているのか、海の生き物を発見するのに適したポイントをいくつかご紹介します。
①荒崎公園
ポイントその1は「荒崎公園」です。
荒崎公園は神奈川県三浦半島にある公園で、その景観のすばらしさは有名です。
海沿いの岩場で生き物を見つけることができます。
なお、洞窟もあり自由研究の他にもハイキングなどレジャーも楽しめます。
住所
〒238-0316 神奈川県横須賀市長井6丁目5320-3
交通手段
自動車
- 横浜・横須賀道路 → 三浦縦貫自動車道に入り終点にて下車 → 突き当たりT字路を左折 → 134号線南下 →「荒崎入口」交差点で右折 → 道なりに約10分
電車、バス 京急急行線
- 三崎口駅下車 → 荒崎行バスにて「荒崎」バス停下車 → 徒歩約5分
②大房岬自然公園
ポイントその2は「大房岬自然公園」です。
大房岬は南房総国定公園の中にある自然公園です。
総合公園というだけあって自然に恵まれていてハイキング、バードウォッチングもできます。
周りは穏やかな海に囲まれており意味の生き物を探すのに絶好の場所です。
住所
〒299-2404 千葉県南房総市富浦町多田良1212−29
交通手段
自動車
- 京葉道路/湾岸道路 → 宮野木JCT → 京葉道路 → 館山道→富浦I.C. から約50分
電車、バス
- JR内房線「富浦駅」下車(内房線 特急さざなみ号 東京から約1時間50分)→ 富浦駅より徒歩約40分
- 富浦駅より日東バス「大房公園入口」下車 徒歩約30分
③柴崎海岸
ポイントその3は「柴崎海岸」です。
柴崎海岸は一面に広がったなだらかな岩場が特徴です。
付近に生息している生き物が多く、海藻の種類も多い点が特徴です。
相模湾を一望できる非常に良い場所です。
住所
〒240-0111 神奈川県三浦郡葉山町一色2512-8
交通手段
自動車
- 横浜横須賀道路/国道16号
- 首都高速神奈川1号横羽線/K1 → 大黒JCT → 首都高速湾岸線 逗子IC → 葉山町方面 約2時間
電車、バス 京急急行線
- 逗子駅からバス芝崎にて下車 10分
④稚児ヶ淵
ポイントその4は「稚児ヶ淵」(ちごがふち)です。
稚児ヶ淵は江の島西部の岩場の名称です。
夕日が美しいことで有名です。
相模湾からは富士山を見ることもでき、海の生き物を探す場所としては絶好な場所です。
住所
〒251-0036 神奈川県藤沢市江の島2丁目5-202-21
交通手段
自動車
- 東京方面より都道318号線 → 都道311号線 → 国道466号線(第三京浜玉川IC)→ 横浜新道出口→横浜新道/国道1号 → 神奈川県道30号出口
- 国道467号→国道134号 → 県道305号 約1時間30分
- 首都高速神奈川1号横羽線/K1 → 大黒JCT → 首都高速湾岸線朝比奈IC → 鎌倉方面 約2時間
電車、バス
- 京急急行線 片瀬江ノ島駅から徒歩で40分
⑤沖ノ島
ポイントその5は「沖ノ島」です。
沖ノ島は特定公園にも指定されている自然豊かな場所です。
歩いて渡れる無人島から沖合の島までの浅瀬が絶好のポイントです。
波が穏やかなため、磯遊びの他、海水浴もできます。
住所
〒294-0035 千葉県館山市富士見545
交通手段
自動車
- 首都高湾岸線 → 大黒JCT → 生麦JCT → 大師JCT→川崎浮嶋JCT → 東京アクアライン → 木更津JCT → 木更津南JCT → 津中央 → 富津館山道路 富浦ICから約25分
電車、バス
- JR内房線館山駅から日東バス館山航空隊行き終点下車徒歩約25分
海の生き物を探しにいくときに必要なものは?
ここで、海の生き物を調べる際に必要となる道具と服装についてご説明します。
海の生き物を観察し捕まえるための道具はもちろんのこと、潮だまりに行くときに適した服装にも気をつけましょう。
基本的には半そで、半ズボンで良いです。
靴に関しては滑りにくいものを選びましょう。
万が一転んだり、生き物を捕まえたりする時に手を怪我した時のために持ち運び可能な救急セットも必要です。
【たも網】
生き物を捕まえる時には絶対に必要なアイテムです。
【飼育ケース】
捕まえた生き物を持ち帰る時に必要です。その場でじっくり観察する時にも使います。
【バケツ】
飼育ケース同様生き物を捕まえた時に必要です。
【軍手】
岩場で思わぬケガをしないために必要です。生き物を捕まえる時にも軍手をしましょう。
【ピンセット】
細かい生き物(貝)などを捕まえる時に重宝します。
【救急セット】
思わぬケガをした時にすぐに手当てするために必要です。
【服装】
海辺に行くのである程度涼しい服装で大丈夫です。
【靴】
岩場を歩くため靴はきちんとしたものを選びましょう。サンダルは転びやすいのでNGです。
この他にも、万が一海に落ちてしまった時のために「ロープ」や「浮き輪」、一息つくために「クーラーボックス」や「ビニールシート」なども用意していくと良いでしょう。
自由研究のまとめ方は?
研究した成果をうまくまとめていくにはまず、以下のポイントをおさえていきましょう。
- 研究テーマ
- 研究をした理由(このテーマに興味を持った理由)
- 研究方法、研究内容(海の生き物を捕まえて観察する、生き物について調べるなど)
- 観察した時の状況(場所、天気、周りの様子)
- 結果(どんな生き物がいたのか、生き物の様子はどうだったのか)
- 感想(良かった点、悪かった点、今後こうしていきたい)
こうした点を意識してまとめると説明もしやすくなりますし、まとめる力、構成を考える力を養うことができます。
生き物を捕まえる様子、捕まえた生き物はカメラか写メで撮るようにして、後で画像を貼れるようにしておくと良いです。
特に重要なのは、結果のまとめとなります。
ポイントとして以下の事項をまとめるようにしましょう。
その時、画像を入れてあげるとわかりやすくなります。
- どんな生き物がいたのか
- どこにいたのか
- どうやって捕まえたか
- 同じ種類の生き物にはどんなものがいるのか
- 生き物がそこにいた理由(周囲の環境、生態系)
このように相手に伝わりやすくポイントを短くまとめることが重要です。
親はどこまで手伝うべき?
重要な点は、子供自身が主体となって自主的に研究を行うかどうかです。
自由研究をする本来の意味もまさにそこにあると言えます。
では、親としてどこまで関わるべきなのでしょうか?
本人がやる気を持って取り組むためには前向きになるような言葉をかけてあげるのが一番です。
ここで例を挙げてご紹介しましょう。
子供にかけてあげるべき言葉の例
- 「どんな生き物がいるのか楽しみだね」
- 「生き物を捕まえる仕掛けを作ってみよう」
- 「まとめる時には画像を貼ってあげるとわかりやすくていいよ」
このように、前向きに取り組めるような言葉をかけてあげるようにしましょう。
まとめ
海の生き物をテーマとした自由研究は大変に面白く、奥が深いものがあります。
夏という季節も相まって自由研究にはうってつけのテーマです。
生き物について調べていくうちに生き物だけでなく自然や環境さらに興味が沸いてくるでしょう。
海の生物をテーマにした自由研究についてのまとめ!
- 海の生き物の観察は夏場には最適!
- 事前にしっかり準備をしてから行こう!
- 思わぬケガには注意。明るいうちに調査を終わらせよう!
- どんな生き物がいるのか、どこで捕まえたかしっかり観察しよう!
- 生き物についてまとめる他に周りの地形、天気などについてもまとめてみよう!
- 研究は自主性に任せよう!
普段生活する上では直接かかわる機会が少ない海ですが、海に行くだけで何だか心が休まります。
何より、夏休みと言えば何といっても海です。
こうした海に関する研究、海の生き物を研究することで何か新しい発見があるかもしれません。
海の生き物についての調査、ぜひ挑戦してみてください!