2017年6月に起きた東名高速道路のあおり運転による事故。
子供2人を残して夫婦が命を奪われるという痛ましい事件が起きて以降、「あおり運転」が社会問題として取り上げられるようになりました。
そんな悲劇が起きたにもかかわらず、その後も悪質なあおり運転による事故の報道は後を絶ちません。
あおり運転が法律によって厳罰化されれば、今よりもこういった乱暴な運転をする人は減ってくるのでしょうが、それでもゼロになることはなかなか難しいでしょう。
もし、せっかくの帰省中にあおり運転に遭ってしまっては、楽しい旅路も台無しになるだけではなく、一歩間違えれば命を落とす危険性もあります。
そんな悲劇を生まないためにも、あおり運転に遭わないようにするための方法や、また、万一あおり運転に遭ってしまったらどう行動すべきか等、その方法について見ていきましょう。
高速で増加中のあおり運転!罰則は?
数年前までは、あおり運転についてはほとんど報道されることはありませんでしたが、ここ最近は、ニュースで取り上げられることが増えてきたように感じませんか?
実際にあおり運転は増えているのでしょうか。
警視庁の報告によりますと、あおり運転として適用される「車間距離保持義務違反」で検挙された件数は、2019年は1万5065件で、前年に比べ2040件増え、この3年間で2.1倍に増えているそうです。
この背景には、あの2017年の東名高速道路でのあおり運転による夫婦死亡事故により、警視庁が悪質で危険な運転の取り締まりを強化した結果と言えますし、裏を返せば、見過ごされてきた危険運転がこれだけたくさんあったということかもしれません。
この報告されている数字は、実際に摘発に至った件数だけであり、実際にはもっと多くのあおり運転があるということは想像できます。
そもそも、あおり運転とはどのような運転のことを言うのでしょうか。
「前方を走行する車両に対して、後方から極端に車間距離をつめて威圧したり、執拗に追い回したり、ハイビームやパッシング、幅寄せ、無理な車線変更による割込みや急ブレーキ、言葉による暴言や罵声など、故意に特定の車両の運転を妨害するような行為のこと」
をあおり運転と言っています。
一歩間違えれば重大な交通事故につながる悪質で危険な行為であるにもかかわらず、現在の道路交通法上にあおり運転の規定は無く、直接の処罰規定が無いため、警察も、道路交通法上の車間距離保持義務違反や刑法の暴行罪など、さまざまな法令を駆使しないと取り締まれない状況でした。
ですが、これだけあおり運転が大きな社会問題となると、厳罰化への動きも進み、ようやくあおり運転を新たに罪と定める道路交通法改正案が閣議決定されました。
具体的な内容は、
「通行妨害目的で、急ブレーキや車間距離を詰めるなどの違反をした場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金、高速道路で他の車を停止させた場合は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金とする」
といったものです。
また、悪質なドライバーは一発で免許取り消しとなり、最低でも1年以上は再取得は不可となるようです。
早く国会で成立し、一日も早く実施してもらいたいですね。
高速であおり運転された!事故にならないようにドライバーが行うことは?
もし、高速道路を普通に走っていただけで、あおり運転に遭ってしまったら、決して慌てず、以下のような対応をとるようにしてください。
- 自分が高速道路で追い越し車線を走っていたら、周囲の安全を確認した後、走行車線にもどること。
- 危険だと感じたら、十分な距離をおき、できるだけ相手の車から離れるように工夫すること。
- しつこく追い回されるなどの悪質な場合は、パーキングエリアやサービスエリアに入るなどして、警察に通報すること。
- 相手が車から降りてきて文句等を言いに来たとしても、車の窓は全部しめ、すべてのドアをロックし、決して相手にしないこと。
もしあおられても、道を譲ることで通り過ぎてくれればいいのですが、もしかしたら、しつこく追い回してくるようなことがあるかもしれません。
その場合も、どれだけあおられたりしても、絶対に相手にしてはいけません。
相手にしてしまうと、そういう人はよけいに反応してくるので無視するように努めてください。
また、高速道路上で止まるようなことは危険ですので絶対にしないでください。
もし危険が迫っていて止まらなければならないときは、路肩に止め、車から出ないようにしてください。
あおり運転をされた上、高速道路上で停止させられたらどうする?
もし、運悪く高速道路上であおり運転に遭い、しかも幅寄せ等で高速道路上に停車せざるを得ない状況になってしまったときは、とにかくすぐに110番に連絡しましょう。
その際、必ず窓やドアはすべてロックすることを忘れないでください。
警察には、「自分はどこにいるのか」「相手から何をされているのか」を伝え、緊急事態であることをわかってもらうためにも、「早く来てください!」と繰り返し伝え続けることも手です。
そうすれば、警察も急いで駆けつけてくれるでしょう。
もし、相手が車から降り、こちらに向かってきて、暴言をはかれたり、車をたたいたりして車体を傷つけるようなことがあっても、絶対に相手にしてはいけません。
もしスマホを持っていたら、その様子を動画で撮影しておくと、証拠として警察に提出できますし、相手もSNS等でネットにあげられるのは困るので、逃げていく場合もあります。
あおり運転をするドライバーの特徴、心理状況、性格は?
テレビ報道で取り上げられる危険なあおり運転を見ると、被害に遭ったほとんどの方は、普通に運転していただけなのに、しつこく追い回されたり、運転を妨害されたように感じます。
そして、そういう人たちを異常なまでに追いかけたり、運転妨害をしたり、運転手に暴行まで加えている加害者の姿を見ると、本当に異常者としか思えませんよね。
なぜ、あの人たちはあおり運転をしてしまうのでしょう?
あおり運転をするようなドライバーの特徴として、
- 極端に気が短い。
- 変にプライドが高い。
- 被害者意識が強い。
- 車間距離の認識の違い。
ということが挙げられます。
極端に気が短い
あおり運転する人の中には、急ぎの用事などがあって早く運転してほしいという焦りからだけでなく、性格的にせっかちで早く運転してほしいということであおってしまう人もいます。
人間の本能として、特に理由が無くても車に乗っていると他人より先に行きたいという心理が働きます。
もともとは、原始時代の食料確保のために培った狩猟本能なのですが、現代では、人より先に行きたいという欲求に変化しているため、アクセルを踏むだけでどこでも行ける車を運転することで本能的な欲求が出やすくなる傾向があります。
あおり運転をしてしまう人は、この欲求が強く、運転が荒くなってしまうと考えられます。
変にプライドが高い
あおり運転をする人にプライドが高い人が多いのも特徴です。
人より常に上にいたいという心理が働くため、自分より小さな車に乗っているのを見ると、本能的に勝てると感じ、とたんに攻撃的になります。
高級車や大き目の車にあおり運転をする人が多いのは、そういうプライドの高さが関係しているとも言えます。
被害妄想が激しい
被害妄想が激しいため、相手の車のちょっとした行動に、「攻撃してきた」「邪魔された」と勘違いをし、相手からやってきたのだからやりかえしてやろうとか、自分からやったわけではないのだから、自分は悪くない、相手が全部悪いのだといったゆがんだ被害妄想を持ちやすいのです。
感情のコントロールができない
あおり運転を繰り返してしまう人は、怒りや攻撃衝動をうまく制御できない衝動制御障害であると考えられます。
この障害は、ちょっとしたことで怒り出したり、手を上げたり、感情がコントロールできないので、車を運転していたときにちょっとしたことでイラッとすることがあると、あおり運転という行動に出てしまうことがあります。
お盆帰省時に高速道路であおり運転をされないためには?
お盆での帰省に、車を利用される方はとても多いですよね。
毎年高速道路は大渋滞。ただでさえ渋滞にはまって大変なのに、こんなときにあおり運転の被害に遭ったら、楽しみの帰省も嫌な思い出になってしまいますよね。
あおり運転に巻き込まれないためにも、運転時には以下のようなことに注意して運転しましょう。
- 後方や周囲に気を配って運転する。
- 追い越し車線ばかり走らない。
- 十分な車間距離をとる。
- ハイビームのまま運転しない。
後方や周囲に気を配って運転する
運転する際は、周囲に気を使って運転することがとても大切です。
例えば車線変更や合流するときに、車が近づいてきていないか必ず見ると思いますが、かなりのスピードで車が近づいているのに、そこで割り込んでしまうと、相手はヒヤッとすると思います。
あおり運転をするような人は、そういう場面で「運転を邪魔された」とか「嫌な気分になった」と思い込んでしまうので、車線変更等をするときは、相手の車の状況を見極め、他の人に嫌な思いをさせないような気配りを心がけましょう。
追い越し車線ばかり走らない
高速道路には走行車線と追い越し車線とありますが、追い越し車線とは高速道路の一番右側の車線で、走行車線を走っているときに前の車を追い越すために利用する車線です。
ですので、道路が空いているからといっても右側ばかり走るのはいけません。
「通行帯違反」という違反になります。
しかも、あおり運転をするような人は猛スピードで追い越し車線を走ってきたりするので、もしそこであなたがずっと追い越し車線を走っていると、邪魔だと感じた相手にあおられる可能性もあります。
ですので、追い越し車線は車を追い越したらすぐに走行車線に戻るようにしましょう。
十分な車間距離をとる
車間距離を詰めすぎると、前の車の人は圧迫感を感じて落ち着いて運転ができません。
もし前の車がキレやすい人だと、後で仕返しにあおられる可能性もあります。
車間距離をとっておけば、自分が急な割込みをされても安全に対処することができますし、前の車の方にも安心して運転できますので、車間距離は十分にとるようにしましょう。
速やかに道を譲る
例えば50㎞/hのところを50㎞/hで走るのは正しいのですが、その際ルームミラーで後方の車を確認しましょう。
制限速度内で走ることは大事ですが、あなたがその速度で走ることによって渋滞を作ってしまうと、そういう運転行為自体がおあり運転をされるきっかけを作ってしまうのです。
もしあなたがそれ以上スピードを上げられないと思ったら、ハザードランプをつけて左端によけて後ろの車を先に行かせてあげるような心配りをしましょう。
道路は自分だけのものではありません。
後続車が急いでいるような場合は、速やかに道を譲るようにしましょう。
ハイビームのまま運転しない
夜間運転のときにライトをつけますが、その際、ライトがハイビームになっていないか確認するようにしてください。
もし前方に車が走っている状態で、後ろのあなたがハイビームのまま走行していると、前にいる車はとてもまぶしく運転に支障が出ます。
もし相手がキレやすいタイプの人だと、それだけでイラッとさせてしまい、あおられることもあるかもしれません。
車を運転するときは、後ろの車だけでなく、前の車にも気をつけましょう。
お盆帰省前にドラレコをセットしょう!コスパの高いおすすめ3選!
帰省を車ですることが決まっている方、ドライブレコーダー(通称:ドラレコ)は付いていますか?
自動車保険以外にも、安全運転を保障するためにも、ぜひ帰省前に装備しておきましょう。
ドラレコは、色々なものがあってかなり迷うと思いますが、ここでは以下のスペックは押さえておきたいと思います。
1.解像度はフルHD(1920×1080)、画素数200万画素以上
このぐらいあれば、万一のとき、相手車両のナンバープレートもしっかり把握できます。
2.レンズ画角が水平109°以上
画角が高いほど左右に広がって見えます。ただし、その分左右の歪みを大きくなります。
3.駐車場監視機能あり
ショッピングモールなどでの当て逃げ対策としてとても有効です。
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