夏の虫の代表であるクワガタ。
大きな顎で他の虫をガッチリ挟み込み放り投げる姿に、カブトムシ以上に魅了される方は多いのではないでしょうか。
夏休みに家族でクワガタを探しに行こう!キャンプの合間に探してみよう!田舎のおじいちゃんちで探してみよう!そんな計画はありませんか?
いざ鼻息荒く森に入ったは良いものの、クワガタのいる木は栗の木?桜の木?それとも柳の木?樹液の出す木?どの木を探せばよいかわからなくて、無駄足だった…ということは避けたいですよね。
そんなクワガタを採集したいご家族のために、クワガタが好む木と、採集方法についてご紹介いたします。
森に突入する前に、この記事で知識を得たら、スマートにクワガタを採集できます!
クワガタがいる木は栗の木・桜の木・柳の木だけ?
18.ヒメオオクワガタ。
標高1,000mを超えるようなブナ帯に出現するクワガタで、その姿も素敵であるが秋のすっきりと晴れ上がった青空の下でヤナギの細枝に付くクワガタを探すというその環境がまた良い。 pic.twitter.com/AUhYuzJpZg— ケブカ屋inouei (@lucanidae1) September 29, 2017
比較的身近な桜の木や、虫が集まりやすいとよく聞く栗の木や柳の木はクワガタが好むのでしょうか?
桜は春になるとピンク色の花が咲き記憶に残りやすいので、木の種類を知らない人でも、近所の桜の木だけはどこにあるか知っているものです。
桜の木でもクワガタを捕獲できたという報告はありますが、あまり多くは無いです。
理由としては、桜の樹液の粘度が高く昆虫が食べづらいためです。
したがって、桜の木にはあまりクワガタは集まってきません。
一方栗の木は秋になると栗の実を目当てに昆虫や動物が集まる木ですが、クワガタは樹液を目当てに集まってくるようです。
柳の木も、クワガタの好む樹液を出す木とされています。
クワガタやカブトムシは樹液がでる木にいる?好む木や場所の特長は?
自分も木には詳しくはないですが、クワガタの集まる「クヌギ」「コナラ」「ヤナギ」がかろうじて解るていどです pic.twitter.com/GdohB2GOWN
— 引きこもりウォーカー (@loser28472539) November 30, 2019
クワガタやカブトムシは樹液をエサとしますが、以下4種の木の樹液は特にクワガタが好むとされています。
- クヌギ
- ブナ
- コナラ
- ヤナギ
クヌギ、ブナ、コナラの3種はブナ科、ヤナギはヤナギ科に分類される木です。
特にクヌギは虫が集まる木として有名です。
その理由としては、木の防御戦略として、外側の樹皮を厚くし、かつ樹皮に抗菌物質を含ませるという戦略をとっており、その一方で内側から沁み出す樹液には抗菌作用をもつ成分「タンニン」があまり含まれず(タンニンは、渋み成分の一つであり、お茶、ワイン、渋柿などに多く含まれています)、樹液の渋みが少なく甘いため、虫が集まりやすいです。
マニアの間では、クヌギの木の前で何時間もオオクワガタを待ち伏せる光景はよく知られています。
一方で、カシ類などの樹皮の薄い木はその逆で、樹液成分に抗菌成分が多く、甘みが少ないため虫が集まりづらいとされています。
しかし、キクイムシの被害を受けたカシ類はその限りではなく、キクイムシが保有する酵母菌と樹液の発酵作用で香りが発生し、虫が誘引されることもあるようです。
植物と虫の関係性は面白いですね。
次に樹液が出る木はどんな木か、という話ですが、まずそもそも木が樹液を出す仕組みから説明します。
基本的には人間が怪我をして血が出る仕組みと同じで、どんな木でも樹皮が傷つけられることにより、木の内部の様々な管も傷つけられ、そこから樹液が沁みだしてきます。
例えばクヌギでは、シロスジカミキリの産卵痕や脱出痕、ボクトウガの幼虫が樹液に寄ってきた虫を捕食するための穿孔等により、表皮に傷がつき、樹液が出てきます。
したがって、樹液の出る木は、そのような虫による穴や、動物が付けた傷などがある木になります。
ただし、昆虫採集のためだけに人為的に木に傷をつけることはやめましょう。
クワガタの採集時期や生態は?
昔盆になると毎年弱ったクワガタが家の玄関の前に来てたので歴代猫でも帰ってきてんのかねぇとか言ってたんだけどしばらく来てなくて忘れてた。さっき玄関の前にひっくり返ったクワガタがいた。直してやったらどっか行った。夏が終わりましたねぇ。 pic.twitter.com/RddbWdto5x
— あんころ (@ankorotrpg) September 7, 2019
クワガタの採集時期は6~8月、特に7月半ば~8月上旬のお盆前の時期がベストです。
お盆を過ぎると数が減ってきます。
クワガタの生態ですが、クワガタは卵から幼虫、蛹、成虫と変態する昆虫です。
生息域は雑木林を主とします。
幼虫は主に朽木を食べ1~3年程で蛹に変態し、脱皮(羽化)により成虫となります。
成虫の餌は樹液や果実の汁であり、成虫の寿命はノコギリクワガタ、ミヤマクワガタは3~4か月程度、オオクワガタは2~3年程度となっています。
最も特徴的な大顎ですが、森の中で点在している餌場争いに優位性を得るため、顎が大きく進化したとされています。
木にしかけるバナナトラップの正しい作り方はコレだ!
虫をまとめておびき寄せる、バナナを利用したトラップのご紹介を致します。
材料(材料費:500~1000円程度)
- バナナ(1房)
- 焼酎(ワンカップ程度)
- 砂糖(適量)
- ドライイースト(適量)
- 排水溝ネット(生ごみネット)
- ジップロック
- 設置用ひも(取っ手付きプラスチック容器)
作り方(製作時間:10分程度+発酵半日~2日)
- バナナの皮を剥いて5mm程度の厚さで小さく切ります。皮同じように小さく切ります。
- 排水溝ネットにバナナと皮を入れます。
- ジップロックに2と、焼酎、砂糖、ドライイーストを適量入れ、口を閉めます。
- 日当たりの良い場所で3を放置し半日~2日程発酵させます。膨らみすぎた場合は口を少し開放します。
発酵に時間がかかるので、事前に作っておきましょう。
実際に作っている以下の動画をご参考ください。
設置方法
一番シンプルな設置方法は「木にペースト状のトラップを直接塗る」方法ですが、「ネットにトラップを入れて紐で木に縛る」方法や、上記の動画のように「プラスチックの容器にトラップを入れて木に設置」する方法であれば、虫が回収しやすい、木を汚しづらいという利点があります。
お好きな方法を選んで頂ければ良いです。
- 木にペースト状のトラップを直接塗る
- ネットにトラップを入れて紐で木に縛る
- プラスチックの容器にトラップを入れて木に設置
バナナトラップにはカルピスとお酒・焼酎、何が正解?
バナナトラップを仕掛けようと 昨日の夕方、バナナ + 砂糖 + 焼酎 + ドライイーストを混ぜてベランダで発酵させていたら ビニール袋が破裂寸前になってた! pic.twitter.com/dJcpeB5hpV
— takahiro (@tobineco) August 3, 2019
上記の作り方では焼酎をご紹介しましたが、他にも、カルピス、日本酒、みりんなど様々なものがネット上で紹介されています。
どれをつかったらいいの?と迷うかもしれませんが、どのものでも効果があるので、コストを考えて家にあるものがベストだと思います。
ただ、焼酎を使用したという例が一番多いので、焼酎は一番実績がある方法だという意味でおすすめ致します。
バナナトラップを仕掛けるタイミングは?
採集時期
6~8月、特に7月半ば~8月上旬のお盆前の時期がベストです。
お盆を過ぎると数が減ってきます。
設置時間帯
トラップの設置する時間帯は夕方までに設置して、早朝3~4時に回収するのがベストです。
昆虫の活動時間は20時~4時頃とされるためです。
日が暮れてから設置しようとすると、手元や足元が見えず作業がやりずらいので、明るいうちに設置しましょう。
設置場所・設置方法
塗るタイプであれば、幹に直接でも良いですし、枝の根本上部に塗れば、垂れ難くてよいです。
紐や容器でつるすタイプであれば、枝の幹に近い根本部分に括り付ければ、虫が集まりやすいです。
ストッキングでも代用可能です。
回収方法
虫かごを用意して、手で一匹づつ回収するか、ネットや容器を使用したトラップであれば、そのまま回収できます。
注意点
採集場所で採集を行って良いかは、その場所の管理人等に、そもそも踏み入ってよいか、トラップを設置して良いかを事前に確認するのが無難です。
また、トラップは放置せず、必ず回収し環境を汚さないようにしましょう。
バナナトラップ以外にも木にしかけたいトラップは?
ノムラホイホイ
閲覧注意【藤木ビートル / 捕獲編】
甲虫トラップ「ノムラホイホイ」の威力たるや… https://t.co/lntrz8h74u pic.twitter.com/JeoLtukaJz— 【休業中】藤木部長@メンズおばさん (@choku_nyu) July 18, 2018
昆虫学者の野村周平の名を冠した、ポップなネーミングとは裏腹に、効果、汎用性の高いトラップ。
2Lペットボトルの頭部を切って、逆さにして開口部にクリップ等で取り付けます。
こうすることで、虫が一度入ると出にくい構造になります。
あとは全体をスプレーラッカーで塗装して、朝日がでてきても虫が逃げづらくします。
あとは中にエサを入れれば完成です。
針金等で設置します。
ライトトラップ
虫は水銀灯に強く惹かれるという性質を利用したシンプルなトラップです。
幕や傘に水銀灯を当てると、いろんな虫がよってきます。
ただし、かなりの虫が集まってくるので、近隣に迷惑の内容に注意してください。
また、外灯や自動販売機の灯りにも寄ってきますので、観察してみると良いでしょう。
エサトラップ
とてもシンプルですが、スイカやバナナなどのエサをそのまま置いておいたり、木にシロップを塗ったりすることで簡単に虫を集めることができます。
塗る場合はハケがあると簡単です。
飼育に必要な木はなんでもいい?カビが生えても大丈夫?
次に飼育方法です。
飼育に必要なものは以下の通りです。
- 飼育ケース
- 飼育用マット(土)
- エサ
- 転倒防止材(登り木)
- 霧吹き
注意点としては、オスを同じケースに入れると争いが起こるので、別ケースで飼育してください。
マットは園芸用ですと農薬が入っている場合があるので、昆虫飼育用のものを選んでください。
エサは昆虫ゼリーが最適です。
霧吹きで定期的にマットを湿らせて森に近い環境を作ってください。
転倒防止材の木についてですが、長さ10~15cm程度の木を1,2本飼育ケースに入れておくことで、クワガタがひっくり返ってもその木を足掛かりにして起き上がることができます。
これがないとひっくり返ったまま死んでしまうこともあるので、必ず入れるようにしましょう。
転倒防止材(10本入り) 楽天市場
また、転倒防止用の木や、マットに木を含ませている場合、カビが発生する場合があります。
クワガタ飼育ケースに出来たコレ…
この白いカビみたいのなんでしょうか
?
白カビ?青カビ?
やばいやーつですかね??•́ω•̀)? pic.twitter.com/lD7lnEKYdI— ゆらら☆ch (@yuraraCh) May 4, 2018
クワガタの健康にも良くないので、カビの生えた木やマットは交換し、風通しの良い日陰の場所に飼育ケースを置くようにしましょう。
クワガタ採集に天気は関係ある?雨上がりの翌日がベスト?
クワ散歩 (2015.6.3)
雨あがりにジワジワでてきます。
木の根元に隠れているね。。#insect #昆虫 #クワガタ #クワガタムシ #鍬形虫 #StagBeetle pic.twitter.com/bChe1ugUuS— 虫飼人 (@Y_Kuwagataya) June 3, 2015
天気についてですが、クワガタを含む昆虫は雨の日に飛び回ることができませんので、昆虫は餌場へ移動すること無く森に点在してじっとしているため、雨の日は効率よく採集することができません。
従って、晴れの日に樹液が出ていたりトラップを仕掛けた木を探すのが効率的です。
さらに、数日雨が連続した翌日が晴れの場合、昆虫は空腹状態のため活発に餌場を飛び回り、遭遇率は高まるようです。
まとめ
- クワガタが好む木はクヌギ、ブナ、コナラ、ヤナギ。特にクヌギは有名です。
- 樹液は樹皮に虫の穿孔などの傷があるところに出ます。人為的に傷つけてはいけません。
- 寿命はノコギリ、ミヤマは3~4か月、オオクワガタは2~3年です。
採集にはバナナトラップが有効
- ジップロックにバナナ、焼酎等入れ、日なたで半日~2日発酵したものです。
- 発酵に時間がかかるので、事前に作っておきましょう。
- トラップは他にノムラホイホイ、ライトトラップ等があります。
- 設置方法は木に塗るか、ネットや容器に入れて紐などで木に縛ります。
- 設置時期は7月中旬~8月上旬、日が暮れる前に設置しましょう。
- 回収は朝3~4時がベスト、環境を汚さないように必ず回収しましょう。
- 採集の際は晴れの日、特に雨上がりの晴れの日がベストです。
- 飼育に必要なものは、ケース、マット(土)、エサ、転倒防止材、霧吹きです。
今回はクワガタの好む木の紹介と、採集、飼育方法をご紹介しました。
これで今年の夏はクワガタゲット間違いなしですね!昆虫採集は森の中を歩き回るので、足元に気を付けて、安全第一で楽しんでください!