毎年夏になると故人やご先祖様を祀るためにお盆が行われます。
その中でも、新盆(初盆)では僧侶や知人を招いて法要を行うなど、事前に準備しておくことが多くあります。
今回は、新盆(新盆)を迎えるにあたって知っておきたい、2020年の新盆(初盆)の日程や服装、案内状、仏壇の飾り方、お布施について詳しくお伝えいたします。
新盆2020年はいつ?そもそも新盆とは?
「お盆」とは、正式には“盂蘭盆会(うらぼんえ)”と呼ばれ、年に一度家に帰ってくるとされる故人を迎える行事です。
特に故人が亡くなった後、初めて迎えるお盆を「初盆(はつぼん・ういぼん)」や「新盆(にいぼん・しんぼん)」と呼びます。
新盆(初盆)を迎えるお宅では、より丁寧な供養が行われることが多く、知人・友人、故人と縁の深い方をお招きして食事をふるまい、お坊さんに読経をしてもらいます。
新盆とは?
故人の冥福を祈り、喪に服していた忌服期間を終える日を“忌明け(きあけ)”と言います。
この忌服期間は宗教により異なり、仏式の多くの宗派では「四十九日」、神式では「五十日」が忌明けとされています。
この“忌明け”以降に初めて迎えるお盆を「新盆(初盆)」といいます。
故人が亡くなって初めて迎えるお盆ではありますが、“忌明け”以降に初めて迎えるお盆を初盆としますので、お盆の数日前に亡くなられた場合は、翌年に迎えるお盆が初盆となります。
お盆の期間は地域によって異なりますが、亡くなる日によっては、49日目もしくは50日目がお盆と重なる場合、またはお盆までの期間が短くなってしまう場合あります。
忌明けの法要は亡くなった日から49日もしくは50日を越えない吉日に行えばよいので、お盆よりも前に忌明けの法要を済ませ初盆を迎えることができます。
このように法要とお盆が重なる、もしくは期間が短くなる場合は、初盆は翌年に行うか初盆と忌明け法要を一緒に行うかのどちらかとなります。
忌明けの法要は故人を極楽浄土へ送る儀式とされているのに対し、お盆は極楽浄土より地上に戻ってくると考えられている事から、一旦お墓に入った故人をすぐに迎えることになり疲れさせてしまうのではないか、という考えもありますので、どちらが良いのかはご家族で相談して決めるのがおすすめです。
2020年の新盆はいつ?
お盆には、新盆(初盆)と混合されがちな「7月盆(新のお盆/新盆)」と「8月盆(月遅れ盆/旧のお盆/旧盆)」の2種類があります。
かつては、太陰暦の“旧暦7月15日”を中心とした期間に行われていましたが、明治時代に太陽暦(新暦)が採用され、“新暦7月15日”に合わせると農繁期と重なり支障がでる地域が多かったため、“新暦8月15日”をお盆とする地域が多くなりました。
現在も「8月盆」を取り入れている地域は多く、企業も8月に休みを設定することが多いので、「8月盆(旧盆)」」の時期が広く「お盆」と認識されています。
そんな中でも、東京都・神奈川県・静岡県・北海道の一部や石川県金沢市など一部の地域では、「7月盆(新盆)」が採用されています。
また、上記のように“新暦”ではなく、“旧暦7月15日”を新暦に置き換える「旧暦盆」というものあり、沖縄や奄美地方、中国地方、四国地方、九州地方など「旧盆歴」を守り続けている地域もあります。
旧暦盆の期間は、その年によって変わるため、9月になることもあります。
2020年のお盆時期 | |
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7月盆 (新盆) | 7月13日(月)~7月16日(木) |
8月盆 (月遅れ盆/旧盆) | 8月13日(木)~8月16日(日) |
旧暦盆 (旧暦7月15日) | 8月31日(月)~9月2日(水) |
「新盆」「旧盆」の違い
「7月盆」は新暦に従ったから“新盆”、「8月盆」は旧暦に従ったから“旧盆”、そして7月から1ヶ月遅く行われたことから“月遅れ盆”と呼ばれるようになりました。
また、「新盆」は“初盆”としてと“7月盆”としての2種類の意味合いがあります。
そして、「旧暦盆」は“旧暦”と呼ばれることもあります。
「地蔵盆」とは違うの?
「地蔵盆」とは、8月23日・24日の地蔵菩薩の縁日を中心に行われる、子供の健やかな成長を願ってお地蔵様を供養する行事です。
主に京都・大阪・神戸などの関西地域を中心に行われています。
ここでいう“縁日”とは、「特定の神仏と縁を結ぶ日」という意味があり、この日にはお祭りや供養が行われます。
地蔵菩薩は中近世以降、子供の守り神として信仰されるようになったことから、地蔵盆は“子供のための祭り”とも言われています。
地蔵前に集まった子供たちに、供養の菓子や手料理などが振舞われることが多く、子供たちに向けたイベントも併せて行われることもあります。
ところによっては、仏僧による子供たちに向けた読経が行われたり、お地蔵さん巡りをして、町内の人からお菓子をいただいたりします。
「地蔵盆」は、ご先祖さまをお迎えする「お盆」とは異なり、“子供の成長を願う行事”です。
今もなお開催されている地域にお住いの方は、きちんと子供に「地蔵盆」の意味を伝え、積極的に参加していくことが大切です。
新盆での服装は平服?喪服?
初盆の法要を行うにあたり、何を着るべきなのか迷う方も多いと思います。
服装のマナーについては、特に気を配りたいですよね。
ここでは招く側、招かれる側それぞれポイントをお伝えいたします。
招く側の服装
基本的に法要に招く側の服装は、葬儀と同じ「喪服」を着用し、招かれる側の服装よりも軽くならない様にする必要があります。
男性は、ブラックスーツに黒のネクタイ、黒の靴を、女性は、黒で無地のワンピースやアンサンブルに黒のストッキング、黒い靴、黒いハンドバッグを身に着けます。
お子さんがいる場合、就学中の子であれば制服を着用させます。
また、未就学の場合や制服が無いとき、男の子は、白いシャツに黒いズボン、女の子は、黒や紺のワンピースや白いシャツに黒系のスカートであれば問題ありません。
ただ、夏場に行われる法要でお墓参りを行う場合も多いことから、自宅で近しい身内のみで法要を行う場合や、参列者に気を使わせてしまわないようにするために、招く側が「略礼服」を着用する場合もあります。
また、招く側は「喪服」を着用しますが、参列者には「略礼服」を着用していただく場合もあります。
その際には、案内状に「平服でお越しください」と記載するのを忘れない様にしましょう。
招かれる側の服装
新盆(初盆)の法要に参列する場合、基本的には「喪服」を着用すれば問題ありませんが、施主より格上とならないように注意する必要があります。
案内状に服装について記載がなければ、上記のような喪服を着用しますが、「平服でお越しください」と記載があった場合には、喪服よりもカジュアルな服装で参列します。
「平服」といっても普段着のことではなく、法要における平服とは「略喪服」を意味します。
男性は、黒や紺、グレーなどの色のスーツ、女性は目立たない色のワンピースが、略礼服に該当します。
また、お子さんがいる場合で制服があるなら制服を、未就学児や制服がない時には、白いシャツと目立たない色のズボンやスカートを選ぶようにしましょう。
もし、服装に迷ってしまい差し支えなければ、施主の方や参列される他の方に服装について、聞いてみるのもおすすめです。
新盆(新盆)の服装についての注意点
招く側も招かれる側も服装を考えるときには、マナー違反にならない様に注意する必要があります。
男性であれば、ネクタイピンやカフスなどの装飾品は「着飾ること」となり、マナー違反とされていますので、身に着けない様にします。
女性であれば、ネックレスなどのアクセサリーは、パールなど派手ではないものを選ぶようにすることと、キャミソールなど肩や胸元が露出する服装は避けること、かかとを覆わないミュールやサンダルなどは避け足元全体を覆うパンプスを選ぶようにすることが大切です。
新盆の案内状の書き方は?新盆の案内状の返信の仕方は?
新盆(初盆)は、故人との縁の深い方や知人・友人をお招きしての法要となるため、正しいマナーで書きたい方も多いと思います。
案内状を送る時期や食事会について、書き方のポイント、案内状の例文、返信の仕方をご紹介いたします。
案内状はいつまでに送るのが良い?
案内状を受け取った方は、案内状が届いてから日程調整を行うこととなりますので、返信をいただくまでにも時間が必要です。
また、喪主は案内状の他にも様々な準備が必要となりますので、余裕を持って進めるためにも、遅くても1か月前、できれば新盆(初盆)の日程が決まり次第、案内状を出すようにすると滞りなく準備が進められます。
食事会はするべき?
新盆(初盆)の法要では、参列者同士が故人を偲んで交流をする「お斎(おとき)」と呼ばれる食事会を行うことが一般的です。
主に、大人数で催される場合や遠方から足を運ばれる方がいらっしゃる場合は、食事会を設けます。
食事会をする場合は、お店の予約をする必要がありますので、参加人数を把握するためにも早めに案内状を出しておくのがおすすめです。
しかし、近年では少子高齢化や住まいの事情などを背景に、新盆(初盆)でも供養を簡素化し、法要だけ行う場合もあります。
また、家族だけで済ませたりすることも増え、食事会を行わないこともありますので、お招きする方や法要の規模によって食事会の有無を決めましょう。
書き方のポイント
法事・法要の案内状を送付する際、原則的には案内の書面を封筒に入れて送るのが礼儀とされています。
不幸が重なるという意味合いがあることから、二重封筒は用いず、白くて無地の新しい封筒を使用します。
また、会場の手配や返礼品の準備、「お斎」の準備をするのに必要なため、出欠をたずねる返信用のハガキを同封します。
最近では、往復ハガキで案内状を送付する略式も増えてきています。
往復ハガキを使用しても特に問題はありませんので、出欠など返信してもらいたい項目をシンプルに過不足なく記載しておくようにします。
また、法要が滞りなく流れることを意味して、文章が途中で途切れる句読点(「、」や「。」)は使用しません。
句読点を使用しない理由はさまざまな説がありますが、一般的なマナーとして句読点を用いない文章で作成するのがおすすめです。
それでは、実際に作成する際に注意したいポイントを順にご紹介します。
①頭語・結語
案内状を書く際には、「頭語・結語」を付けましょう。
頭語と結語には決まったルールがありますので、正しい組み合わせで使用します。
法要の案内状では、主に頭語が“謹啓”、結語が“謹白”が用いられています。
②時候の挨拶
季節を表す挨拶を「時候の挨拶」といい、頭語の後に案内状を送付する月に相応する時候の挨拶を記載します。
しかし、文章の長さやスペースの都合がある場合には、時候の挨拶を省いても大丈夫です。
省く場合には、頭語の後に「皆様におかれましては…」と文章を始めます。
③故人との関係と故人の名前
喪主と故人との関係性を記載した後に、故人の名前を記します。
このとき、喪主と故人の名字(姓)が同じ場合は「名前のみ」記し、名字(姓)が異なる場合には「氏名(フルネーム)」を記載します。
④新盆(初盆)が行われる日時と場所
新盆(初盆)が行われる「月日・曜日・開始時刻」を記載する際には、慣例として西暦はあまり用いず、元号○○年と記載します。
また、開催場所は「住所・名称・電話番号」を記します。
もし、スペースに余裕があれば、“○○駅より徒歩何分”などと書き添えると参列者への配慮になります。
⑤お斎について
法要の後食事会を行わない場合は記載不要ですが、お斎を行う場合は、文末にお斎を用意している場所を記載します。
法要とお斎の会場が、同じ場所でも別の場合でも、書き方に大きな違いはありません。
新盆の「案内状」と「裏面」の例文
それでは、「法要とお斎を実施する場合」と「法要のみ実施する場合」の例文をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
また、2種類の表現にて例文を作成していますので、「お斎」の有無に関らず用途に合う方をご活用ください。
尚、「新盆」は前述したとおり2通りの意味で用いられることもあるため、下記の例文では「初盆」と表記いたします。
①法要とお斎を実施する場合
謹啓 梅雨の候 皆様には益々ご清祥のことと拝察申し上げます
このたび 亡母 花子 の 初盆を供養いたしたく存じます
つきましては下記のとおり相営みたく存じますのでご多忙中誠に恐縮ではございますがご参列賜りますようお願い申し上げます
謹白
記
日時 令和○○年○○月○○日(○曜日) 午前○時より
場所 「○○ホテル」○○の間 住所 ○○市○○町○-○-○
電話 ○○○-○○○-○○○
なお法要後同会場にて粗宴を差し上げたく存じます
令和○○年○月
喪主名
お手数ながらご都合の程○月○日頃までにご返信賜りたくお願い申し上げます
②法要実施する場合
謹啓 時下ますますご健勝のこととお慶び申し上げます
このたび下記日程にて 亡母 花子 の 初盆を供用いたしたく存じます
つきましてはご多忙中誠に恐縮とは存じますが何卒ご列席のほどお願い申し上げます
謹白
記
日時 令和○○年○○月○○日(○曜日) 午前○時より
場所 自宅
住所 ○○市○○町○-○-○
電話 ○○○-○○○-○○○
なお 服装は平服にてお越しください
令和○○年○月
喪主名
続いては、出欠をたずねるハガキの裏面の例文です。
裏面で気を付けたいポイントは「卒塔婆(そとば)」についてです。
出欠をたずねるハガキにて、「卒塔婆をお付けいただけますか?」とおたずねをするのは必須ではありません。
ただ、法事の当日に参列者の方からお申し出をいただくよりも、前もってお教えいただければ法要に間に合うように準備ができることから、たずねる方もいらっしゃいます。
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