待ちに待った夏休み。
どこへ出かけようか考えると、わくわくしてきますよね。
でも読書感想文が宿題に出されると、「書き方がわからない、原稿用紙5枚なんて無理!」と思ってしまいませんか。
先生からの指導もあまりないので、途方にくれてしまうことも。
でも安心してください。
読書感想文は決まった型、構成に沿って書いていけば必ず仕上がります。
しかも型に当てはめて書くと、個性が消えるどころかきわだってくるという面白い現象も起きるんです。
正体、手順を知れば恐れるものはなし。
がんばりましょう。
感想文を書くときは、できるだけ読みやすく、短いものを選びましょう。
後述しますが、はがき大のカードにメモしてから、あれこれ順番を入れ替えると感想文らしくなります。
構成を知り、カードを用意するといった下準備が重要です。
カードの前に、付箋を勧められた人もいるでしょう。
付箋はキーワードを書いてブレインストーミングするには最適ですが、面積が小さすぎます。
しかも本に付箋の「のり」がつくと、虫食いや変色、傷みの原因にもなるので、気をつけてくださいね。
<引用、タイトルに関するルール>
なお、本のタイトルは『』でくくり、収録されている作品名は「」でくくります。今回取り上げる作品「ナイン」は、文庫『ナイン』に収録されているものとお考え下さい。引用に関しては「」でくくり、自分の意見でないことはハッキリさせることも大事ですよ。
読書感想文の高校生向けの書き方!5枚にまとめる構成とは?
5枚にまとめる構成は?どのように構成をすれば5枚にまとまる?
感想文が苦手な人は、本と原稿用紙を並べていきなり書こうとしていることが多いようです。
手っ取り早いようで挫折しやすいパターンです。
構成は4つに分かれますので、それに応じて文字数を配分しましょう。
構成
- タイトルを決めます。(書き上げてからふさわしいタイトルをつけるのがおすすめ)
- なぜこの本を選んだか、その理由ときっかけを書きます。
- あらすじ。5W1Hを満たすようにすると、冗長になりません。
- 印象に残った点、疑問に思った点を挙げ、理由を書きます。(理由に対し、経験談をひいて自分の意見を述べます。気持ちがどう変化したか、詳細にメモしましょう)
- 本を読んで得られた知識、自分に与えた影響、今後に役立てそうなことをはがき大のカードにメモします。読書の際はかならずカードや、切りはなせるメモ帳を手元に置いて、すかさずメモをとるようにしてくださいね。きっと後で役に立ちます。
スムーズに書き終えるには?
原稿用紙5枚は2000字ですので、項目ごとに分配しましょう。
- タイトル
- 選んだきっかけ
- あらすじ全部で200文字ほどになります。
- 印象に残った点や自分の考え、経験談で1000字ほどにします。
とはいえ印象に残った点を2つ、3つに分けて書くなら、文字の配分は変わります。
1つの項目につき500文字ずつ、もしくは約300字ずつ書くとすれば、だいぶハードルが下がる気はしませんか。
それでも字数が足りないときは、ひらがな表記を増やすしかありません。
最後のまとめとして、本から得られた知識、影響を800文字ほどで書くとしましょう。
一気に2000字書かなくてよくなりますので、負担感も減ります。
ぜひ、「困難は分割して」とりくみましょう。
読書感想文の高校生向けの書き方 題名はどうする?
高校生らしい題名の付け方は?おすすめの題名の付け方、その理由
高校生にもなると、難しい書き方をしなくてはいけないのではと考えるかもしれませんが、実際にはそんなに気負わなくて大丈夫。
なお、タイトルはいわゆる「総括」(そうかつ)にあたりますから、全体を書き上げた後に考えるのがちょうどいいですよ。
おすすめの題名の例
- ~を読んで。~を読んで感じたこと。
- ~から私が得たこと。
- ~で感銘を受けたこと。
以上がオーソドックスなタイトルです。
ちなみに、冷静なタイトルをつけると高校生らしくなります。
「~を読んでびっくりして泣いてしまったこと」と書くよりは、大人びた感じになりますよね。
タイトルは最後の花。
ぜひクールに飾ってあげましょう。
読書感想文の高校生向けの書き方 書き出しはどうする?
高校生らしいスムーズな書き出し方は?
きっかけも書き、あらすじもまとめた後は書き出すだけですが、これが1番難しい所ですね。
おすすめは「印象に残っている点」からズバッと書きはじめることです。
言いたいことから書ききってしまうほうが、読み手としても気持ちがいいですよ。
そしてここでも「型」に当てはめて書いていけば、迷子になりません。
それは、
- なぜかと言えばこうだ
- 自分であればこうするだろう
- だから印象に残ったのである
という順番です。
結論から始め結論を補強して終わるあたり、論文っぽさも出ていますね。
「ナイン」を例にしましょう。
「1.印象に残った点は、悪事を働く正太郎が作品に現れない点だ。あくまでも野球団元団員たちの伝聞で、近況が知れる存在である。
2.悪事を重ねれば地元には戻れないはずだ。私は嘘をつくことさえ苦手なので、正太郎の気持ちがわからない。
3.謝罪して罪をつぐなえば、また野球団の仲間の元に戻れるのに、なぜ自分から孤立するようなことをするのか。あえて謝罪しないのだろうか、と考えるととにかく不思議でたまらない。のどに引っかかった魚の小骨のように、ものすごく気になるのだ。」
読書感想文の高校生向けの書き方 書き終わりはどうする?
終わりよければすべてよし。
感想文の最後は、今回の読書によって起きた変化を挙げてまとめます。
1冊の本と出会うことで、多少なりともあなたの考えは変化しています。
見逃さないためにも、手元にメモ帳を置いておきましょう。
本の題名と内容にギャップはありましたか。
登場人物に対して、当初と印象が変わったのであれば、その理由を書きます。
あなた以外の人生を見せてくれるのが読書ですから、衝撃を受けたり、考えを改めることもあるでしょう。
いつもおどおどして生きている人が、読書によって新しい考えにふれたとき、その人の人生は少し変わります。
本に勇気づけられて、少しだけ自発的に行動できるようになるかもしれません。
小言を言われても、以前より気にしなくなるかもしれないですね。
こうした小さな変化を書くと、より読書感想文らしくなります。
実質としては、「読書反省文」という人もいます。
本を読んで自分の心と対話しましょう。
「書かされて嫌だ」と思うのでなく、「内省する機会」ととらえると精神的に成長できます。
また、「ナイン」を例にしましょう。
「当初は詐欺を働き続ける正太郎を理解できなかった。しかし、家庭環境が複雑で、何度も家出をしていたこと、試合のときも倒れた監督の代わりに指揮を執っていたことを知って、考えが変わった。彼は泣くことが許されない子供だったのではないかと考えるのだ。
悪人であることは間違いないが、荒れ野を一人行くヒーローのように見えてくる。わたしはこんな孤独な生き方をまねることはできないし、そうとうな覚悟がなくては難しいと思う。いつか正太郎が心の底から泣いたり、笑ったりできるようになればいいと切に願う。」
高校生らしい読書感想文は です・ます調?
高校生の感想文にふさわしいのは「である、だ」と言い切る常体(じょうたい)です。
論文や新聞に使われる文調で、堅苦しい、とっつきにくいイメージがあるますよね。
常体は感情を排して事実を淡々と述べるのに最適なんですよ。
しかも言切ることで自然と一文が短くなるため、文章の構造もシンプルになります。
事実のみを的確に伝えたいときには最適の文調と言えるでしょう。
感想文は気を抜くと、一人がたりになりがちですので、常体を使うことでキビキビとしたリズムが出てきますよ。
です・ます以外の調体と、それぞれの特徴は?
小学校で習ったのが「ですます調」、いわゆる敬体で、丁寧な文章に使われる文調です。
教科書などがいい例ですね。
優しく話しかけるような調子ですので、聞き手もそれほど身構えたり緊張することはありません。
それに対して、「だ、である」と言い切るのが常体です。
事実を簡潔に伝える必要のある、新聞やニュース、論文や雑誌によく使われますよ。
言切りのリズムを好む方もいますが、冷たい言い方にも聞こえるのがデメリット。
使う場面を見きわめる必要があります。
高校1年生におすすめの感想文向け書籍3選!
その1 井上ひさし『ナイン』
おすすめの理由
「ナイン」は教科書にも採用されている短編で、小学生が読んでもわかるくらいの簡潔な表現がされています。
正しいと思っていたことが、最後につぎつぎとひっくり返されて読み手は唖然とします。
きっとなんども読み返して、考え込んでしまうと思いますよ。
あらすじ(アマゾン商品ページから引用)
「懐しい町の匂いを求めて、私はときどき駅を降りてみる。四谷しんみち通り、20年前の野球少年たちはどうしているだろう。ぷーんと木の香をさせていた職人のおじさんは元気にしてるだろうか。
バスの窓から見る風景も、雑踏の中で垣間見るドラマも、東京の町はすべて通りすがりの私の胸に熱く迫ってくる。」(引用ここまで)
高校2年生におすすめの感想文向け書籍3選!
中野信子『キレる!脳科学から見た「メカニズム」「対処法」「活用術」』
おすすめの理由
高校生は青春真っただ中。
心の内からわき上がる、怒りのエネルギーに翻弄されることはないでしょうか。
バイト先で理不尽に叱られ、悔し泣きすることもあるでしょう。
この本で怒りの原因、対処を知れば、ほんの少しだけ生きやすくなります。
勉強になることも多く、客観的な事実について自分の考えを述べるほうがやりやすいのであれば、こうした科学的読み物はおすすめです。
あらすじ(アマゾン商品ページから引用)
「本書では、“キレる”という感情について、「なくすべきもの」とネガティブに捉えず、脳科学的に分析しながら具体的な対処法・活用法を考察する。ここ最近、あおり運転、児童虐待など、怒りを抑えきれずに社会的な事件につながるケースが数多く起こっている。
そこで、「“キレる”という感情は、人間にはそもそも備わっているもの」という視点に立ちつつ、怒りの正体を解明しながら、“キレる人”や“キレる自分”に振り回されずに怒りの感情を活用して、上手に生きていく方法を探る。」(引用ここまで)
高校3年生におすすめの感想文向け書籍3選!
梅棹忠夫『知的生産の技術』
おすすめの理由
学校では知識をどうやって手に入れるか、知識をどう組み替えて文章に仕上げるかということは教えません。
かなり古い本ですが、ファイリングやカードによる情報整理は今でも使える技術です。
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