夏休みの宿題の定番でもある、弁論文。「弁論文とは…?」と名前を聞いただけで戸惑ってしまう人もいると思います。
そこで今回は、高校生が弁論文を書く際におすすめのテーマと弁論文の書き方、そして例文をご紹介します。
弁論文をうまくこなせるチカラは将来、大学でのディベートや仕事におけるディスカッションの基礎となります。ぜひこの記事でしっかりと学んでみてください。
高校生の弁論文 おすすめテーマ6選
①AI(人工知能)
AIとは人間のように物事を学習し、蓄積されたデータをもとに自発的な判断を行なうことができるコンピューターシステムのことです。最近だと、ChatGPTなどの生成AI(ジェネレーティブAI:Generative AI)の登場が日々のニュースで大きく取り上げられています。
この技術はとても便利なものであると同時に、さまざまな懸念点を抱えています。
ひとつ例を挙げると、人間と比べてはるかに短時間に効率よく作業をこなせることから、今人間がしている仕事の中にはAIに取って代わられ失業率が上がる可能性があるという問題です。
弁論文においてはこのような問題提起から始めて、自分の考えを展開していくのが王道のやり方です。
近い将来、高校生のみなさんが社会人になるころには仕事というものがどう変化しているのか。そんなことを想像しながら書いてみてはいかがでしょうか。
②戦争と平和
日本は1945年の敗戦以来、直接どこかの国と戦争状態になってはいません。そのためあまり馴染みがないと思いますが、皆さんのひいおじいちゃん・ひいおばあちゃんの世代になると戦争を経験した方もいらっしゃることでしょう。
そして記憶に新しいロシアとウクライナの戦争など、世界に目を向けると未だに戦争や紛争は続いています。
平和に暮らせることの尊さを見つめなおすきっかけにもなりますし、なぜ戦争をするべきではないのか、戦争が起きるのを防ぐためにはどのように行動すべきなのかといった問題提起から弁論文を書き始め、自分の意見を続けていくのが良いでしょう。
③自然災害(震災)
日本は自然災害の多い国として有名で、毎年のように災害が起きます。地震に関していえば、2023年に日本全国で起きた震度1以上の地震は2,227回にのぼります(気象庁調べ)。みなさんの身近でも、被害にあわれた方もいるのではないでしょうか。
自然災害をテーマとして書く場合は、災害が起きる前もしくは災害が起きた後という着眼点で書くのがよいでしょう。
たとえば災害が起きる前だったら災害に対する事前の備えについて。災害が起きた後であればSNSが普及したことによる、被災状況など最新の情報がすぐに伝達される利点とデマ情報が広まるリスクなど、色々なポイントが弁論文のテーマに取り上げやすいと思います。
④ごみ問題
海外から日本を訪れた方々が、日本の街のキレイさに驚いているのをよく見聞きします。清掃職員やボランティアの方たちが街をきれいに保つ努力を続けてくれるおかげですね。
それでも道を歩いていると、たばこや空き缶などのポイ捨てされたゴミがいたるところに落ちています。
弁論文ではなぜポイ捨てをしてしまう人は減らないのか、落ちているゴミがどのような弊害をもたらすのか、そしてあなたに清掃のボランティア活動経験があればそれに関してなどのポイントをうまく取り上げてみてください。
⑤交通事故
自動車、単車、自転車、そして歩行者との間で、残念ながら数多くの交通事故が日々起こっています。
近年ニュースを賑わせているのは、高齢者のアクセル・ブレーキの踏み間違えや悪質なあおり運転などです。
また、努力義務ではありますが道路交通法の改正によって自転車乗車時のヘルメットの着用が明記されました。自転車通学をしている場合もその対象ですし、高校生のみなさんであれば既に免許を取得した人もいるかもしれません。
当事者として考えやすいテーマですので、弁論文では事故の予防策、自転車でのヘルメット着用を義務化すべきかどうか、日本の免許制度(取得できる年齢や高齢者の免許返納など)をといったポイントを取り上げていくのが良いでしょう。
弁論文の基本構成と書き方のコツ
「起承転結」を意識する
弁論文を書く際には「起承転結」を意識することが重要です。
- 起:選んだテーマについて、どのようなことが問題なのかを書く
- 承:その問題に対し、いくつかの具体例をあげてわかりやすくする
- 転:問題に対しての自分なりの解決策を挙げ、必要であれば逆の立場への反論も書く
- 結:文章のまとめ
この骨組みを意識して文章を肉付けしていくと、流れのスムーズな文章が書けるはずです。
意見文と弁論文は書く内容は似ていますが、弁論文は弁論大会などのスピーチの場で自分の意見を大勢に対して主張しているイメージをしながら書くのがよいでしょう。
「書き出し」と「結び」には型がある
起承転結の骨組みを意識しても、やはり書き出しをどうするかは悩んでしまいますよね。
でもあまり深く考えすぎずに「起」では自分が選んだテーマに触れつつ「なぜ●●●なのでしょうか」と問いかける文章で問題提起をしましょう。
そして最後の結びである「結」では、自分が書いてきた文章を振り返りながら「そういった理由で/だからこそ、私は〇〇〇だと思います」といったように、最終的な自分の結論を述べて締めましょう。
弁論文の例文
ここまで紹介した書き方に沿って、弁論文のサンプルを紹介しますので参考にしてみてください。
〜ゴミのポイ捨てについて〜
日本は他の国と比べてきれいな国だ、非常に衛生的で暮らしやすい国だと言われています。
しかし、街を歩いているとポイ捨てされているゴミが目につくこともあります。
なぜ人はゴミをゴミ箱ではなく道端に捨ててしまうのでしょうか。
(⇒起:問題提起)
先日、街を歩いていると前にいた人がタバコを灰皿ではなく道端にポイ捨てしていました。
周りにいた人たちもそれに対し何も思っていないのか、そのまま通り過ぎて行きました。
近くにゴミ箱があるのにも関わらず、ゴミをポイ捨てする人たちも少なくありません。
(⇒承:具体例)
ポイ捨てをする人たちもおそらく自分の家の中、学校や会社の中ではしないはずです。それにも関わらず道端であればゴミを捨ててしまうのは、想像力が足りていないのではないでしょうか。
例えば捨てたゴミがプラスチック素材であれば、雨や風などで側溝に流れて川や海に流れ着き、水質の汚染や海洋生物の減少に繋がってしまいます。
ボランティアの方たちが街を清掃してくれている所もありますが、ポイ捨てがなくならなければなかなか掃除も追いつきません。
そういった想像力を一人ひとりが持ち、ポイ捨ては悪だという意識を持つことができればゴミのないきれいな街づくりができると思います。
(⇒転:解決策)
サッカーのワールドカップで日本人サポーターが試合終了後、スタンドのゴミを持ち帰るというマナーの良さが世界で報道されていました。これは大変素晴らしく世界に誇れることだと思います。
ですが、そういった目立つ場だけでなく日常生活の中で一人ひとりが街をきれいに保つ意識を持つことができれば、ゴミ一つなく本当の意味できれいで住みやすい国にしていけるのではないでしょうか。
私自身も、ポイ捨てが環境を汚してしまったり他人の迷惑になってしまうかもしれないという想像力を常に働かせて暮らしていきたいと思います。
(⇒結:まとめ)
弁論大会でうまくスピーチするコツは?
弁論文をただ書くだけではなく、弁論大会が開催される学校もあると思います。
ただ、人前に出てスピーチをするのはほとんどの人にとって慣れないし、とても緊張しますよね。
スピーチは内容も大事ですが、自信を持って話すことが一番重要です。
話している途中で噛んでしまっても、堂々としていれば聞いている側はさほど気にしないものですよ。
それから、弁論文は自分の意見を相手に訴えかけるためのものなので、難しいかもしれませんができれるかぎり原稿から目を離して聴衆に目線をやりながら話すとさらに良くなると思います。
まとめ
今回の記事のポイントをまとめてみます。
- 弁論文はスピーチなどの場で相手に訴えかけるイメージで
- 起承転結の骨組みを意識し、書き出しでの問題提起から最後の締めまでの流れを
- 弁論大会では、自信をもって堂々と話すことが最も重要
テーマ決めや文章の構成の仕方など、慣れないこともたくさんあると思いますが、今回解説したことを参考にしてみてください。
弁論大会を控えている人は事前の準備も当日の緊張も大変でしょうが、人前で自分の意見を聞いてもらえる機会はなかなか少ないでので、とても良い経験になるはずです。
今のうちから真剣に取り組めば、大学生になりそして社会に出たとき将来大いに役に立つチカラとなりますのでぜひ頑張ってくださいね。