小学生の自由研究の中でも一風変わったものとして「カレー作り」があります。
カレー作りというと何だかカレーの作り方をまとめるだけのような気がしますが、そんなことはありません。
どうせなら「スパイスから作ってしまおう」というのが、この自由研究の特徴です。
この自由研究をすることによって
- なぜカレーは辛いのか
- カレーの中にはどんなスパイスが入っているのか
- そもそもスパイスとは何か
- スパイスにはどんな成分が入っているのか
- スパイスにはどんな効能があるのか
こうした奥の深い知識を身につけることができます。
自由研究の質も高くなりまさに一石二鳥のテーマであると言えるでしょう。
簡単でありながら奥の深い「カレーの自由研究」に関して、その方法、注意点について解説します。
小学生の自由研究はカレーとスパイスで決まり!
なぜこの自由研究をおすすめするのか、それは「奥が深いから」です。
冒頭で述べた通り、カレーが辛いのには理由があります。
カレーはわざと辛くしてあるのです。
「何を当たり前のことを言っているんだ?」
たしかにその通りです。
しかし、カレーは辛くないと意味がありません。
カレーを食べると汗が出ます。
体の中の血液の循環が良くなるからです。
つまり体の代謝が良くなるのです。
カレーと聞いて思い浮かべることは何でしょうか?
すぐに思い浮かぶのは「インド」「タイ」こういった国ではないでしょうか?
こうした国の夏季の日中温度は40度にもなります。
普通に生活していたのではすぐに夏バテしてしまいます。
そこで、こうした夏バテを解消するために代謝を良くする食べ物を好んで食べます。
その代表的なものがカレーなのです。
実はカレーの辛味のもととなるスパイスは二種類しかありません。
胡椒と唐辛子です。
カレーの辛さはスパイスだとよく言われますが、胡椒と唐辛子以外はあまり辛さには関係しません。
実際に、スーパーで売られている「クミン」「カルダモン」「ターメリック」こういったスパイスを舐めてみるとよくわかります。
独特な風味があるものの辛味はほとんどありません。
一見辛味とは関係のないスパイスが入っているのにもちゃんとした理由があります。
スパイスは薬ぜん効果としてブレンドされているんです。
これは健康増進を意識してブレンドしたというより、日頃の生活の中でバテてしまわないことを目的としています。
結果として、ブレンドされたスパイスによって独特の風味が出ることとなり、カレーの奥深さに繋がることになりました。
このように、カレー作りをスパイスから始めることによって様々な背景、風土、そしてスパイスそのものの効能を学ぶことができるのです。
スパイスは何を用意する?
カレーに使用されるスパイスには様々なものがあります。
今回使用するスパイスについては、まずは一覧表にあるものを用意しましょう。
主なスパイス一覧
スパイス名 | どんなスパイスか | 主な効能 |
---|---|---|
胡椒 | インド原産の胡椒科に属するスパイス。辛み成分とツンとする独特の香りが特徴。 |
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唐辛子 | 中南米原産のナス科唐辛子属のスパイス。カプサイシンによる辛味が特徴。 |
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クミン | 地中海原産のセリ科の植物。スパイスとしては種子(クミンシード)が一般的。 |
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ターメリック | インド、東南アジア原産のショウガ科に属する多年草。色素成分のクルクミンはカレーの色付けに用いられる。 |
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コリアンダー | 地中海原産のセリ科の植物。葉、種子ともに使用されるがスパイスとしては種子を指すことが多い。葉の部分はパクチーとして有名。 |
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カルダモン | インド、東南アジア原産のショウガ科の多年草。スパイスとしては種子を乾燥させたものを用いる。 |
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シナモン | クスノキ科に属するニッケイの樹皮。独特の香りが特徴。デザートに用いられることで有名。薬味、漢方薬としても用いられる。 |
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クローブ | インドネシアモルッカ諸島原産のフトモモ科チョウジの花のつぼみ。スパイスの他に漢方薬としても有名。 |
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ナツメグ | インドネシアモルッカ諸島原産のニクズク属ニクズク科の樹木(ニクズク)の種子。種皮はメースと呼ばれる香辛料の原材料。 |
|
カレーの中にはこうした何種類ものスパイスが入っていて、独特な風味と香りを出しているのです。
もちろん、組み合わせと調合量によって、その風味と香りも変わってきます。
さらに今回ご紹介したもの以外のスパイスを組み合わせることによって、自分好みのオリジナルカレーを作りだすことができます。
スパイスからカレーを作ろう!作り方のコツは?
では、実際にスパイス作りから始めてみましょう。
今回は一例として、インド風カレーでは一般的なブレンドスパイスを作ってみたいと思います。
スパイス作りの材料
- スパイス
- ブラックペッパー 2~3粒
- 唐辛子 小さじ 1(粒子状のもの)
- クミン 小さじ 1
- ターメリック 小さじ 1/2
- コリアンダー 小さじ 1/2
- カルダモン 小さじ 1/4
- シナモン 小さじ少々
- クローブ 小さじ少々
- ナツメグ 小さじ少々
- 計量スプーン(小、中)
- ガラスボール(Mサイズ)
スパイスの作り方
- 計量スプーンでスパイスの分量を量りガラスボールへ入れる
- スパイスを混ぜ合わせる
使用する材料も作り方もいたってシンプル!
何しろスパイスを混ぜ合わせるだけですから…
スパイスを作る際のポイントは以下の通りです。
スパイス作りのポイント
- 後で研究結果をまとめる時のために正確に量る
- スパイスは色むらが出ないように十分に混ぜ合わせる
- ブレンドしたスパイスをごく少量味見してお好みに合わせてスパイスを足す(その際には足したスパイスの分量を記録する)
こうしてブレンドしたスパイスを使って実際にカレーを作ってみます。
カレーの作り方については普段の方法と同じです。
カレーを作る時にはこのような点に気をつけましょう。
色々な具材を使いたくなりますが、まずはシンプルな具材でスパイスそのものの味を確かめるようにします。
その後で様々な具材でオリジナルカレーを作ることをおすすめします。
もちろん、スパイスの調合を変えた際には同じ具材で食べ比べてからにしてください。
こちらの動画では実際にスパイスを作成している様子を紹介しています。
ご参考にどうぞ。
スパイスから作る【本格カレー】の作り方
ムグライ・アールー・チキン【カレー&スパイス伝道師・渡辺 玲】
小学生らしい自由研究のまとめ方は?
実験した結果をうまくまとめることで、研究した成果をよりそれらしくまとめていくことができます。
まずは、以下のポイントをまとめていきましょう。
まとめのポイント
- 研究テーマ
- 研究をした理由(このテーマに興味を持った理由)
- 研究方法、研究内容(スパイスのブレンド方法、カレーの作り方)
- 実験した時の状況(どのようにスパイスを作ったのか、どのスパイスを使ったのか)
- 結果(どのような味だったか、分量を変えた場合の味の違い)
- 感想(良かった点、悪かった点、今後こうしていきたい)
こうした点を意識してまとめると説明もしやすくなりますし、まとめる力、構成を考える力を養うことができます。
スパイスをブレンドしている様子はカメラか写メで撮るようにして、後で画像を貼れるようにしておくと良いです。
特に重要なのは、結果のまとめとなります。
ポイントとして以下の事項をまとめるようにしましょう。
その時、画像を入れてあげるとわかりやすくなります。
- どんなスパイスを使ったのか
- どんな味だったか
- 分量を変えてみた場合の味の違いはどうなったのか
このように相手に伝わりやすくポイントを短くまとめることが重要です。
カレーだけを使った自由研究のテーマは?
カレーに関する自由研究はカレー作りだけにとどまりません。
この他に、このような自由研究にも取り組んでみましょう。
カレーのバリエーションに関する研究
そのものずばり「カレーの種類」に関する研究です。
カレーと言ってもインド、タイ、スリランカといったお馴染みの国の他にも東南アジア圏を中心に様々なカレーが存在します。
現在、カレーを食事のメニューとしているのはこのような国があります。
- インド
- タイ
- スリランカ
- シンガポール
- インドネシア
- カンボジア
- ミャンマー
- ネパール
- パキスタン
- イギリス
- ドイツ
意外な国としてはイギリス、ドイツといったヨーロッパ圏の国々です。
この他にもカレーに似た煮込み料理として、北アフリカ地方のクスクス、タジンやメキシコのモレなど数え上げればきりがありません。
カレーという切り口で各国の食文化を比較してみることで、単なる自由研究も壮大なものになること間違いなしです。
カレーの歴史に関する研究
カレーのバリエーションに関する研究と似ていますが、「カレーの歴史」について調べてみるのも自由研究のテーマになります。
カレーの歴史と言えば何となく思い浮かぶのは「インド発祥」と思いがちです。
しかし、これは少し違います。
たしかにインドにはカレーの原型となる煮込み料理として、サーグ、コルマ、ダールといったものが存在します。
しかし、現在のようなとろみのあるカレーはイギリスで作られたものがベースになっていると言われています。
こうしてカレーの歴史を紐解くことで当時の世界情勢を知ることができ、ひいては世界史をテーマにした自由研究に繋がります。
スパイスだけを使った自由研究のテーマは?
一方、スパイスに焦点をあてた自由研究としてはこのようなテーマがあります。
カレーの色素を使った研究
スパイスの特性を使った研究の一つとして、色素を確かめる実験があります。
この実験をする際には、必ずクルクミンをブレンドしたスパイスを使ってください。
スパイスの色素を確かめる実験方法
- フライパンに水と焼きそばを入れて火にかける
- ゆで汁が白く濁ってきたらスパイスを入れる(この時、スパイスの色が黄色から赤色に変化!)
- 炒めている焼きそばにウスターソースを入れる(すると、焼きそばの色が赤色から黄色へ!)
ちなみに炒めた焼きそばはそのまま食べられます。
なぜこのような変化が起こったのか、それはスパイスに含まれるクルクミンが関係しています。
クルクミンはカレーの色付けに欠かせないスパイスです。
つまり、カレーが黄色いのはクルクミンが入っているからなのです。
クルクミンは酸性の物質で普段は黄色ですが、アルカリ性の物質が加わると赤色に変色する性質をもっています。
一方、焼きそばにはかん水と呼ばれる麺にコシを出す物質が入っています。
このかん水はアルカリ性です。
スパイスが変色したのはかん水のアルカリ性にクルクミンが反応したからなのです。
その後、ウスターソースを入れることによって元の酸性に戻り、色も黄色に戻ったというわけです。
クルクミン以外のスパイスについても酸性なのかアルカリ性なのか、どの食べ物と混ぜ合わせると色が変わるのか色々試してみましょう。
ハーブの研究
カレーに使われているスパイスそのものに焦点をあてて、スパイスとハーブの効能を自由研究のテーマにすることもできます。
スパイスについては先ほどご紹介した通りですが、香りづけのスパイスとしてはこのほかにもローリエ、オールスパイス、オレガノ、セージなど幅広く存在します。
更に幅を広げて
- 料理の香りづけに使われるハーブにはどのようなものがあるのか
- 料理で使用されるハーブの種類とその効能
- 料理に限らずハーブとはどのようなものがあるのか、その効能は何か
こうしたテーマで自由研究をすれば、まさにスパイス博士、ハーブ博士になること間違いありません。
カレーとスパイスの自由研究の注意点は?親はどこまで手伝うべき?
重要な点は、子供自身が主体となって自主的に研究を行うかどうかです。
自由研究をする本来の意味もまさにそこにあると言えます。
では、親としてどこまで関わるべきなのでしょうか?
本人がやる気を持って取り組むためには前向きになるような言葉をかけてあげるのが一番です。
ここで例を挙げてご紹介しましょう。
子供にかけてあげるべき言葉の例
- 「自由研究は順調?」
- 「どんなスパイスを使うの?」
- 「味はどうなるのかな?楽しみだね」
- 「まとめる時には画像を貼ってあげるとわかりやすくていいよ」
前向きに取り組めるような言葉をかけてあげるようにしましょう。
まとめ
このように「カレーの自由研究」はスパイスの作り方、スパイスの元となる成分、スパイスにまつわる歴史、果てはカレーを使った面白い研究、スパイスに関係した研究など、そのテーマも幅広く奥が深いのです。
ここまでご紹介した内容のまとめです。
【カレーの研究のまとめ!】
- カレーの自由研究はとてもお手軽。家にあるもので簡単にできる。
- 色々なスパイスをブレンドしてみよう
- 配合するスパイスの量を変えて味と風味の違いを確かめよう
- 違いを比べる時は同じ具材を使おう
- カレー、スパイスを切り口にしたテーマで自由研究のグレードがさらにアップ!
- 研究は自主性に任せよう!
一見すると単純で簡単に見える「カレーの研究」ですが、逆の見方をすれば単純だからこそ奥が深く、奥の深い研究をすることで自由研究そのもののグレードが更に高くなり光り輝くものとなるでしょう。
そうなれば、周りの人からも一目置かれる存在間違いなし!
自由研究を通じて更なる知的好奇心を育んでいきたいものですね。
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