高校に進学したあなた。
自由研究とはおさらばだと思っていたら、そんなことはなかった、と失望しているでしょうか。
それとも面白い研究をしてやろうと、わくわくしながら材料を集めているところかわかりませんが、高校の夏休みは想像以上に忙しいですよ。
休みとは名ばかりで長期間の夏課外への参加、オープンキャンパスや部活が目白押し。
文化祭、体育祭への準備に駆り出されることもあり、ぼんやりしていたらあっという間に2学期が始まります。
時間をうまく使って、素朴な題材で素敵な作品に仕上げましょう。
小学生や中学生向けの1、2日で終わるようなテーマを選んでください。
着眼点を変えれば、研究レベルはいくらでも変わります。
最近は、高校生向けのサンプルも紹介されていますが、実験後にどうまとめるかで困ったことはありませんか。
実験の面白さやどんな原理が働くのか、まとめやすい題材を選びます。
実験前の予想や期間、道具は忘れずメモしましょう。
研究計画を立てたら、最低限1日にすることを、カレンダーに書き出します。
これを「タスクに落とし込む」といいます。
教科書の実験の確認でも、テレビの特集からでもネタを引っ張ってこられます。
歴史ジャンルなら、伝統和菓子を作って、食材の特徴をまとめるのもいいでしょう。
ゲーム、アプリも題材に使えそうですね。
興味あることと、科学を掛け算すれば、可能性は無限大。
自由研究高校生向け面白いネタ<高1向け>その1:10円玉をピカピカにする
スポーツドリンクでおなじみのクエン酸。
実は還元反応の実験にも使えるんですよ。
黒い10円玉(酸化銅)をクエン酸(酢でもよい)につけ、酸素を除いて還元反応を確認します。
還元は中学でもならいますが、化学式を暗記するだけでは、高校化学に太刀打ちできません。
電子の分離や、原子構造を考えて式を書くといいでしょう。
酢酸(酢)は組成式C2H4O2より、化学式CH3COOHの方をよく使います。
なぜならC2H4O2は酢酸の他、「蟻酸メチル」表記にも使われていて、ややこしくなるからです。
ちょっとした豆知識ですね。
まとめ方
化学式を書くだけでなく、電子の離れ方や水素原子と酸素原子がどう反応するか図式化しましょう。
化学式は数字の書き方に注意しないと、紛らわしくなります。
元素記号の前に付く係数と、分子を示す小さな「2」の区別も、合わせて説明するといいですね。
還元反応は日常の中にも隠れています。
ケチャップに含まれる有機酸は、クエン酸と似たような働きをするので、さび落としに使えますよ。
有機酸を塗ると、台所のステンレス部分にできた赤さびだけ溶かすので、ピッカピカになるんです。
自由研究高校生向け面白いネタ<高1向け>その2:こぼした牛乳はなぜ臭い?
牛乳を拭いた後に、雑巾くささが残ってうんざりしませんか。
この研究をおすすめする理由は、だれにとっても役立つ知識になりうるからです。
家事、育児の中で子供に牛乳をこぼされることはよくあります。
知っていると、汚れもの処理で焦らずにすむかもしれません。
用意するものは、
- ペーパータオル
- 捨てる直前のぼろ雑巾
- バケツ
- 食器用中性洗剤
です。
ジュウタンにこぼした場合は、使い捨てのできるもので、水分をしみこませてとります。(高いものの、吸水性の高いペットシーツを使ってもよいです)
洗えるサイズのものなら、洗剤を薄めたバケツにつけ置きします。
洗いにくいものは、洗剤を薄めた水に、雑巾をひたして水拭きしてください。
残った水分は、吸水性の良い布切れで拭きとりますが、たたくか踏みつけるかすると効率的に水抜きできます。
お湯を使えばいいのでは、と思うかもしれませんが、牛乳には豊富なたんぱく質が含まれています。
つまり、「お湯でたんぱく質が固まる」んです。(これは血液汚れにもいえることです)かならず水で汚れを落としてください。
それでもなんだか臭う……そんなときは重曹の出番ですよ。
臭う部分を軽く湿らせて、重曹を振りかけて一晩放置してください。
乾いたことを確認してから、翌日掃除機で吸いとると、臭いがうすくなります。
なお、掃除機は水気が入ると壊れるので、取り扱いには注意です。
まとめ方
重曹が臭いをとる仕組みを、まとめてもいいですね。
家族の理解は必要ですが、少量の牛乳をプリンカップに入れて傷む様子を記録すると、いつまで食べられるか見極めるのに役立ちます。(臭いが確認できたら、すぐに片付けましょう)
洗濯は簡単なようで、適切な洗剤の量や水の温度に気を配らないと、汚れが落ちません。
汚れの性質に注目して、洗い方や対処の仕方を変えなくてはなりません。
身近な生活に化学は隠れていますよ。
自由研究高校生向け面白いネタ<高1向け>その3:砂糖8ヘンゲ
シロップ、キャラメル、べっこう飴。
原料はすべて砂糖水で、違いは加熱時間だけ。
「令和時代を紐解く料理のヒント日本料理人の幸食研究所」
内の、「温度による砂糖の変化8種類」からデータ引用し、説明します。
シロップは103~105℃、フォンダンは107~115℃の、低い温度で火からおろします。
115~121度でキャラメルに、140℃でタフィー、145℃でドロップへと変化。
165℃でべっこう飴が出来上がります。
これを超えるとカラメルソース、カラメルへと変化します。
温度ごとに出来上がったものをおかずカップに入れ、後で写真撮影してもいいでしょう。
まずはべっこう飴のレシピを紹介します。
です。
大さじ1で上白糖9グラム相当なので、11回すくえば100グラムに近づきますね。
フライパンに上白糖と水をいれ、強火(底から火がはみ出ない程)で加熱しはじめますが、箸で混ぜずにみていると泡が立つので、中火(底に火の先がしっかりつくほど)にして酢を入れます。
冷まして撹拌(かくはん。混ぜること)するとフォンダンができます。
泡がつぎつぎと膨らみますが、この状態がタフィー。
ほんのり黄色がかるとべっこう飴に近づきますので、火を止め型に流し固めます。
あっという間に温度が上がるので、うっかりしていると焦げますよ。
オレンジっぽい色で固い飴になれば成功。
なお、温度ごとに正確に実験するなら、水没しても大丈夫な調理温度計を使いましょう。
暑い時期の調理は大変ですが、体調とやけどに気をつけて進めてください。
まとめ方
料理に欠かせない調味料の一つである砂糖。
シロップや飴の原料になりますが、ほんの少しの温度の違いと加熱時間によって、まったく別物になるんです。
キャラメルを作るつもりが、固い飴になったりと、お菓子作りはなかなか繊細で面白いところ。
高校の家庭科は、中学のときと違い、理詰めで原理を説明するようになります。
科学と分野が重なるので、自由研究の題材に最適。
授業で学んだことを応用し、追実験する意味でもこのテーマはおすすめです。
自由研究高校生向け面白いネタ<高2向け>その1:ちんすこうはなぜおいしいか
カリキュラムにより差はありますが、2年時に沖縄へ修学旅行に行く学校もあるでしょう。
定番のお土産の一つがちんすこうですが、小麦粉と砂糖とラード(油)を混ぜて焼いた、シンプルなもの。
こねて加熱するだけなのに、なぜおいしくなるのか考えてみませんか。
おすすめする理由は予想が立てやすいことです。
加熱した砂糖がおいしさを決めるのでしょうか。
それとも、米のアルファ化に似たことが、加熱された小麦粉に起きてうまみが増すのでしょうか。
砂糖なしで少量ちんすこうを作り、味を確認してみましょう。
もしおいしくないとしたら、砂糖がちんすこうのおいしさを左右しているといえますね。
では、レンジの加熱時間から砂糖がどの状態になっているか推測しましょう。
そして温度計を使いつつ、同じ条件で砂糖を加熱したらちんすこうと同じ味になるでしょうか。
まとめ方
砂糖を加熱した結果を一覧にしましょう。
170℃のオーブンで焼いた、ちんすこうに含まれる砂糖がどの状態であるか、予測してください。
菓子の断面を顕微鏡で観察して、砂糖がどう変化しているか、観察してもいいでしょう。
補足:
最近のレンジにはオーブン機能がついていますね。
機種によりますが、皿を外してオーブンモードにし、温度設定をしてスタートボタンを押すと予熱されます。
予熱して最初から高温で焼かないとうまくできません。
フライパンと電子レンジでも作れますよ。
170℃前後からカラメルソース、190℃でカラメル化しますが、目を離すと炭になります。
砂糖の加熱はとてもシビアですので、「苦労したこと」として記録し、失敗談として共有してもよいでしょう。
自由研究高校生向け面白いネタ<高2向け>その2:ダイラタンシー効果
片栗粉と水、器があれば実験できる、ダイラタンシー現象(dilatancy)を知っていますか。
dilate自体は膨張という意味を持ち、普段は流体で衝撃が加わったときに固くなるという、面白い現象です。
液状化とも関連性のある語ですので調べてもいいですね。
数年前、田んぼに飛び込みをした方が骨折したのも、このダイラタンシー現象によるもの。
しかしながら、この現象を防弾チョッキに応用できるのでないかとも言われているんですよ。
理系の大学へ進学予定の方には興味深い実験になるでしょう。
動画も紹介されていますが、飛び散るので浴室を使います。
参考動画:ダイラタンシー流体に鉄球落としてみた
片栗粉に水を加え、すくうとトロッとするくらいに調節して、ペーストを作ります。
金属球などをそっとのせたら沈みますが、ある程度の高さから落下させたらどうなるでしょうか。
実験してのお楽しみ。
まとめ方
メジャーも活用して、落下させる高さと結果を記録しましょう。
ハンドスピナーやヨーヨーを使う例もありますので、この現象のすごさと恐ろしさを体感してくださいね。
理論は難しいですが、応用にあたっての実現性を考えたら面白いでしょう。
自由研究高校生向け面白いネタ<高2向け>その3:郵便ポストの配置の謎
これはEテレで紹介されていた、自由研究のヒントをもとにしたものです。
方法は簡単で、自宅付近にある郵便ポストの位置と、書かれた回収時間をメモしてデータを集める作業。
今は郵便ポストの場所を、一覧でまとめたサイトがあるので参考にしましょう。
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