夏休みの宿題、中でも自由研究は頭を悩ますところです。
そんな時は、ずばり「雲を作ってみる」に限ります。
このテーマ、自由研究だけに「研究している」というところを見せるのにうってつけなのです。
しかも簡単!
今回は、実際に雲を作るための手順と、なぜ雲ができるのか、それからちょっと変わった雲の作り方についてご紹介します。
さらに、実験結果のまとめ方、実験する際の注意点なども織り交ぜながらご説明します。
簡単で学術的なこのテーマ、ぜひ実践してみましょう!
ペットボトルで雲を作る実験はどうやってやる?線香が必用?
まずは、ペットボトルで雲をつくるために必要なものと手順をご紹介します。
「線香を使った雲」をつくるための材料
- ペットボトル(1.5リットル~2リットル用)
- 計量カップ
- 線香
- ライター(柄の長いもの)
- お湯(80℃ぐらい)
- 灰皿
「線香を使った雲」の作り方
- お湯を計量カップで100ミリリットル程度測り、ペットボトルに入れる
- ライターで線香に火をつけ、ペットボトルの中に10秒ほど入れる(煙が中で充満するのを確認する)※煙を入れた後の線香は灰皿に置いて水で消してあげましょう。
- ペットボトルのふたをしめて、何回か上下に振る(大体10回ぐらい)
- パットボトルをおもいっきりへこませる
- へこませたペットボトルをゆるめる(この時、手をパッとはなしてあげるのがポイント)
- へこましたりゆるめたりを何回か続ける
※この時、パッとへこましパッとゆるめるのがポイントです。
こうすると、何と!雲ができあがるのです。
実験した時の映像をご紹介します。
ご参考にしてみてください。
なぜこれで雲ができるのでしょうか?
そもそも、曇ってなにでできているのでしょう?
雲は空気中の水もしくは氷の粒が集まってできたものです。
雲ができている高さによって上層雲、中間雲、下層雲の3つにわけることができます。
それぞれ、上空5~13キロメートル、2~7キロメートル、2~1キロメートル前後の高さの違いがあります。
ちなみに、上空1キロ(10,000メートル)の気温はマイナス50℃だと言われています。
シベリアの冬の気温がマイナス20℃~マイナス35℃と言われていますから、いかに寒いかがおわかりいただけるかと思います。
これだけ寒い場所です。
当然のことながら空気中の水分は水や氷の粒となって空気中に存在することができるわけです。
それから雲を構成する要素としてもう一つ重要なもの、それがちり(いわゆるほこり)となります。
純粋な水や氷は透明ですから、そのままでは雲のように目に見える形とはなりません。
目に見える形になるためにはちりが必要となります。
雲一つあたりの粒の大きさが大体0.02ミリ~0.2ミリとなるので、ちりの大きさも極めて小さいものとなります。
このちりが水や氷の粒につくことで雲が目に見える形になるのです。
ここまで雲が何かについてご説明しました。
それでは、どうやって雲ができるのかご説明します。
まず、太陽が地面を照らすことによって暖かい空気ができます。
暖かい空気は体積が大きくなり密度が小さくなります。
密度が小さくなることによって暖かい空気が空に向かって上昇していきます。
これを上昇気流と言います。
上昇した空気ですが、上空に行くと圧力が下がり気温も下がります。(この時の圧力のことを気圧といいます。)
先ほどご説明した通り上空の気温は非常に低く、温められた空気は瞬時に冷やされ水もしくは氷の粒となります。
粒の大きさは大きくても0.2ミリですので、この状態で空気中に浮遊しています。
ここに空気中のちりがくっついて雲ができあがるわけです。
かなり前置きが長くなってしまいましたが、ペットボトルでは、この状況と同じ状況を作り出しています。
状況を置き換えてみると、このようになります。
- 水蒸気 = お湯が冷めるときに出てくる湯気
- ちり = 線香のけむり
- 温度が下がる(気圧が下がる) = ペットボトルを押しつぶした後で緩める
つまり、ペットボトルの中で上空20000メートルと同じ環境が作れるわけです。
線香なしで雲をつくる方法とは?
雲をつくる方法として、お湯を使う代わりに消臭スプレーを使う方法もあります。
材料と手順をご紹介します。
「線香を使わない雲」をつくるための材料
- ペットボトル(1.5リットル~2リットル用)
- 消毒用アルコール
- 消臭スプレー
「線香を使わない雲」の作り方
- 消毒用アルコールを計量カップで5ミリリットル程度測りペットボトルに入れる
- 消臭スプレーをペットボトルの中に一吹き入れ、ふたを閉める
- ペットボトルを両手で持ち温める(この時、ペットボトルの周りのくもりがとれるまで温める)
- ペットボトルの中が透明になったらペットボトルをゆるめる
- へこましたりゆるめたりを何回か続ける
へこましたりゆるめたりするのは先ほどご説明した方法と同じです。
ポイントは先ほど同様「パッとへこまし、パッとゆるめる」です。
すると、またまた雲ができあがりました!
先ほどの実験では空気中のちりの代わりに線香を使っていました。
今回の実験では空気中のチリの代わりとして消臭スプレーを使っています。
消臭スプレーの中にはエアチゾールという成分があり、これが空気中のちりの代わりになります。
お湯の代わりとなるのがアルコールです。
アルコールは蒸発しやすいため、お湯が蒸発するのと同じ状態を作り出すことができます。
お湯と線香を使う方法は一般的に良く知られていますので、この実験方法も加えてみると、化学の実験のようでワンランク上の実験のように見えてきます。
雲を作る実験を自由研究にまとめよう!
実験した結果をうまくまとめることで、研究した成果をよりそれらしくまとめていくことができます。
まずは、以下のポイントをまとめていきましょう。
- 研究テーマ
- 研究をした理由(このテーマに興味を持った理由)
- 研究方法、研究内容(どのような方法で実験したのか)
- 研究結果(実際に雲ができた時の様子、なぜ雲を作ることができたのか)
- 感想(良かった点、悪かった点、今後こうしていきたい)
こうした点を意識してまとめると説明もしやすくなりますし、まとめる力、構成を考える力を養うことができます。
実験の様子はカメラか写メで撮るようにして、後で画像を貼れるようにしておくと良いです。
研究方法もさることながら、なぜ雲を作ることができたのか解説を入れることがポイントとなります。
本記事でご紹介した雲ができる条件、雲ができる流れを解説しながら、それがペットボトルを使うとどうなるのか比較していくとレポートが作成しやすくなります。
実験を安全に行うために!親はどこまで手伝うべき?
重要な点は、本人が主体的、自主的に研究を行うかどうかです。
自由研究をする本来の意味もまさにそこにあると言えます。
では、親としてどこまで関わるべきなのでしょうか?
本人がやる気を持って取り組むためにはどのようにしたら良いのでしょうか?
ここで例を挙げてご紹介しましょう。
子供にかけてあげるべき言葉の例
- 「自由研究進んでいる?」
- 「どうやって実験するのか教えてね」
- 「まとめる時には画像を貼ってあげるといいよ」
本人が前向きに取り組めるような言葉をかけてあげるようにしましょう。
基本的には本人の自主性に任せる点にありますが、今回は火を使う実験、そこは注意してあげる必要があります。
火をつける時、火がついた線香の処理には気をつけてあげましょう。
特にやけどには十分注意する必要があります。
そこで、気をつけるポイントは以下の通りとなります。
やけどに注意するポイント
- 火をつける際には普通のライターではなく、柄の長いライターを使う
- 線香は長いものを使用し火がついた部分から距離をとって持つようにする
- 事前に水の入った灰皿を用意し、線香の火をすぐに消せるようにする
エタノールと消臭スプレーを使う時はさらに注意が必要です。
エタノールと消臭スプレーの注意するポイント
- エタノールは可燃性のため、実験をする時には火を使うものは近くに置かない!
火を使うのはもってのほか!線香を使った実験とは一緒に行わないこと! - 消臭スプレーも可燃性、かつスプレーが飛散するので危険!
これも線香を使った実験とは一緒に行わないこと!
雲の観察も自由研究テーマとして人気!
雲をつくる研究の他に、雲の観察も奥が深いものがあります。
この研究の良い所は、お手軽にできることにあります。
ただし、地道に観察する必要がありますのでその点は肝に銘じておきましょう。
雲の観察とは、雲の形、その時の気象条件を一定の時間、場所で行うことにより、どのような状況の時にどのような雲ができるのか、その傾向をまとめていくものとなります。
様々な雲の形を見つけることで雲には多くの種類があることを知ることもできます。
どうやって観察するかというと、ずばり「空を眺める」ことです。
「観察」ですから、以下の点に注意を払う必要があります。
- 雲の大きさ、雲の形
- 方角
- 風向き
- 天気
- 気温
では、どうやって観察するか、大まかな手順は以下の通りになります。
雲を観察する手順
1.観察日記に記入すること
雲を観察する前に、以下の点を観察日記に記録します。(観察日記はスケッチブックにまとめて書いても良いですし、観察日記用のノートを準備しても良いでしょう)
- 観察場所(例えば、「〇〇公園」「〇〇山」といった具合)
- 観察する時間(午前〇時〇分)
- 観察する方角(南、西など、おおまかな方角で構いません)
- 観察する時の天気(晴れ、曇り、雨など、観察する時の実際の天気)
- 風向き(北風、南向きの風、など観察場所での大まかな風向き)
- 気温(観察場所での実際の気温)
※このうち、「風向き」「気温」については、記録が難しければ無理に書く必要はありません。
2.観察する
実際に雲を観察します。
目視します。
時間によっては日の光が目に入りますのでサングラスをしましょう。
間違っても虫メガネや双眼鏡で日光を見てはいけません!
3.雲のスケッチ
観察した雲の形をスケッチブックに描きます。
うまく書こうとする必要はありません。
見たままの雲を自分で描けるように描いたらOKです。
観察する時間は同じ時間が望ましいですが、厳密に同じ時間にする必要はありません。
おおよその時間で、大体12時ごろ、大体3時ごろ、こうした時間で構いません。
ただし、観察する時間を記録をする際には正確な時間を書くようにしましょう。
方角、天気、風向き、気温についても同じことが言えます。
大事なことは毎日観察することになります。
あまりに正確に書こうとすると観察する前に疲れてしまいますので「おおよそこうだった」ということが書ければ大丈夫です。
実験に比べてお手軽で、特に気がついたら夏休みも終わりに近づいていて困ってしまった、こんな時には有効な自由研究の一つです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
雲の実験をまとめてみると、このようになります。
雲の実験のまとめ!
- 雲の実験はとてもお手軽。家にあるもので簡単にできる。
- 雲の実験をした後で、なぜ雲ができるのか、その仕組みも理解しよう!
- 雲の実験は線香がなくてもできる。ぜひ試してみよう!
- 雲の実験をしたら研究結果をまとめてみよう。ポイントをまとめることで研究がグレードアップ!
- 実験は自主性に任せよう!ただし、火を使うので注意しよう!
夏休みの自由研究、ちょっとした工夫でかなり学術的な研究になります。
こうした学習をすることで子どもの自主性を養うことにつながります。
身近でありながら実は知らない雲を題材に取り上げることによって、自分の周りには知らないことがたくさんあって、物ごとに対する興味、好奇心を育むことにもなります。
全ては成長のための糧となるのです。
たかが自由研究、されど自由研究、自由研究を通じて子どもの成長を育んでいきたいものですね。
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