夏休みの宿題に短歌の宿題が出ることは、ここ最近よく見られるようになりました。
でも、短歌鑑賞文となると、鑑賞文って何?という声が聞こえてきそうですね。
ここでは、いくつかの短歌の紹介とその短歌の鑑賞文例を読みながら、鑑賞文の書き方を紹介していきます。
鑑賞文と感想文の違いについても少し触れていきますよ。
- 短歌鑑賞文が夏休みの宿題に出た!鑑賞文って何?
- 短歌鑑賞文例3選!
- 鑑賞文を書くコツやルールは?
- 鑑賞文を書く短歌の決め方は?
短歌鑑賞文が夏休みの宿題に出た!鑑賞文って何?
鑑賞文とは?
鑑賞文は、芸術作品を見た時にどんなことが読み取れるかを紹介し、最後に自分で感じた感想を述べるものです。
短歌には、その人の感情や情景が書かれています。
その感情や情景がどのように書かれているかをまず説明します。
そして文末にその短歌を読んで、自分がどう感じたかの感想を書くようにしましょう。
鑑賞文と感想文は違う
- 鑑賞文は、作品が表していることを読み取り、作品の内容を説明することがメイン。
- 感想文は、作品を読んで自分が感じた感想を書き、自分の感想を伝えることがメイン。
例えば、
絵画作品や演劇などの芸術作品を見た時は、その作品にどんな思いが込められているか、どのように描かれたり、演じられているかを説明します。
これが鑑賞文です。
絵画鑑賞、演劇鑑賞、映画鑑賞と言われます。
小説や絵本などの文学作品を読んだ時は、その作品を読んで自分がどう思ったかを、文章にしますね。
これが感想文です。
読書感想文と言われます。
参考サイト Twitter
堀本裕樹著『俳句の図書室』(角川文庫)は明日4/25発売。既刊『十七音の海』の内容に、新たに10句の俳句鑑賞文と、又吉直樹さんと堀本の対談を追加したリニューアルバージョンとなっております。追加10句の中には又吉さんや長嶋有さんの俳句も。げみさんの素敵なイラストカバーが目印です! pic.twitter.com/GNRX6AmbDc
— 渡部充紀 (@dobato_tebasaki) April 24, 2017
短歌鑑賞文例3選!
では、ここで実際に短歌を読んでみて、その情景や詠んだ人々の感情を読み取ってみましょう。
文末には、自分が感じた感想を書き添えて鑑賞文を完成させてみます。
本来、<説明>と<感想>をつなげて鑑賞文としますが、ここではわかりやすくするために、<>を使って2つに分けて書いていきます。
鑑賞文の例
冬眠より 醒めし蛙が 残雪の うへにのぼりて 体を平ぶ
齋藤茂吉
<説明>
まだまだ雪が残っているが、春の訪れを感じるままに、長かった冬眠から目を覚ました蛙。
春の暖かな日光を全身で浴びようと、体を広げて日向ぼっこをしている様子。
<感想>
蛙の姿を見て、春の訪れを待っていた斎藤茂吉さんは、蛙と同じような気持ちになったのでしょう。
人も自然も生き物も、みんな春の訪れを待って、暖かい陽の光を今か今かと待っているのだなと感じました。春になると生き物の息遣いが聞こえてくるようで、清々しい気持ちになります。
なにとなく 君に待たるる ここちして 出し花野の 夕月夜かな
与謝野晶子
<説明>
夕暮れ時、なんだかあなたが外で待っているような気がして、外に出てみる。
夕暮れの陽に照らされている野花がとても美しく見惚れています。
<感想>
女性の恋の思いを綴った詩。
ふとした瞬間に好きな人を思い出し、外の風に当たりたくなるのは、どの時代も同じ人の感情なのだなと感じます。
好きな人を思う時は、心が新鮮で優しい気持ちになれます。
そんな気持ちになった時や、感情が豊かになって、陽の光もいつもと違って見えるものです。
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
紀貴之
<説明>
人の心というものは、環境によって考え方も、感じ方も変わってゆく。
そんな中でも、生まれ育った土地の梅の花は、昔と変わらないままの姿で、良い芳香を漂わせている。
<感想>
人の心は変化に富むけれど、幼い頃の懐かしい思い出や情景は、私たちの心を洗い、落ち着かせてくれるものだと感じます。同じ場所で、静かにたたずむ梅を見て、変化しないものの美しさを心で感じたのでしょう。
参考サイト アマゾン
鑑賞文を書くコツやルールは?
ここに鑑賞文を書くコツを、上で紹介した斎藤茂吉さんの蛙の短歌を元に、皆さんに紹介していきますよ。
鑑賞文を書くコツ
- 鑑賞文を書くコツは、一字一字をしっかりと読み解き、短歌の情景をしっかりと把握すること。
その時の雰囲気や情景を、パッと場面を想像できるように説明します。
- 情景の説明ができたら、短歌を詠った歌人が、どんな気持ちで書いたのかを説明します。
- 最後に、情景と気持ちを読んで、自分がなにを想像したか、どんなところに感動したかをまとめて書きます。
鑑賞文のルール
鑑賞文のルールは特にありません。
情景と気持ち、自分の感想を盛り込んでわかりやすい鑑賞文を書いてみてくださいね!
短歌の鑑賞文を書くためのステップとオンラインリソース
短歌の鑑賞文を書くために補足です。もっと簡単に書くには以下のステップを踏むと良いでしょう。
1.短歌の理解
短歌を何度も読み、その意味や感情を理解しましょう。短歌の背景や作者の意図についても調査すると、より深い理解が得られます。
2. 感想の形成
短歌を読んで自分がどう感じたかを考えます。感想は主観的であるため、自分の感情や思考を素直に表現しましょう。
3. 鑑賞文の作成
短歌の内容と自分の感想を組み合わせて鑑賞文を書きます。短歌の内容を客観的に説明した後、自分の感想を述べると良いでしょう。
また、短歌の鑑賞文を書くスキルを磨くためには、以下のオンラインリソースが役立つかもしれません。
短歌の教材
短歌の教材は、短歌の基本的な形式や鑑賞文の書き方を学ぶのに役立ちます。多くの教材は、短歌の例とその解説を提供しています。
短歌のオンラインクラスやYoutube
短歌のオンラインクラスでは、経験豊富な講師から直接学ぶことができます。また、他の学生とのディスカッションを通じて、新たな視点を得ることもできます。
これらのリソースを活用することで、短歌の鑑賞文を書くスキルを向上させることができます。
鑑賞文を書く短歌の決め方は?
鑑賞文を書く短歌は、どんなものでも良いです。
教科書に載っていた古代短歌でも良いですし、現代短歌でもOKです。
ただし、短歌を読んで、場面を想像できるものを題材にすると、その後の感想も書きやすくオススメです。
季語によっても、春夏秋冬がありますので、自分の好きな時期の短歌を探してみるのも良いでしょう。
古代短歌には、現代社会ではあまり想像できない情景もあるかもしれません。
古代文学を読み解くという面では、古代短歌を選ぶことが魅力的ですが、まずは自分が安易に想像できる短歌の鑑賞文を書いてみましょう。
短歌鑑賞文書き方のまとめ
- 鑑賞文は、情景・感情・場面をしっかり説明する。
- 短歌の説明をした後、短歌の良い点を挙げる。
- 鑑賞した時の自分の感想を述べる。
- 鑑賞には、場面を想像できる短歌を選ぶ。
いかがでしたか?
歌人の感じた情景や感情を読み解き、その短歌を自分なりに解釈して、感想を書くコツがわかったでしょうか?
これを機会に、素晴らしい短歌と出会い、今まで自分では考えたこともない感情を文にしてみてください。
私って、結構想像力あるかも?なんて新しい発見があるかもしれませんよ。